372話 ページ43
幸いにも傷口が開いたりなどの異常はなかった。それはそれで安心なのだが…
「ははは…ですよね…」
案の定、ホテルは超高級のスイートルーム。ここまでお金持ちの生活に触れてくると安いホテルが恋しくなる。
「それじゃ、私は…「どこへ行く」はい?」
出て行こうとした矢先、引き止められる。いや、だってここは跡部君の部屋だってミカエルさんが…
「お前も一緒だ」
「あ、そうですか。…ってええええっ!?」
「何をそこまで驚く」
驚くわ!とつっこみたくなるのを堪えて冷静になる。こういうのは以前にもあったじゃないか、私。慣れだ慣れ。…というのも無理な気がする。
「お断りさせていただきます」
「何故だ」
「私の心臓が死にます」
「…は?」
そのままの意味なのにな…理解してもらえないとは…
「別に今に始まったことじゃねえだろ」
「それでは床で寝かさせていただきます」
「ダメだ」
そう。この部屋、ベッドが1つしかないのである。未来が見え見えである。
「仕方ねえ…来い」
「えっちょ、待っ」
腕を引っ張られてそのままベッドへ。突然すぎて抵抗すらできなかった。
「俺はもう眠いんだ…寝る…」
「ちょっ、跡部君!?」
「zzz…」
「寝るの早っ!」
そういえば、最近徹夜続きだったせいで睡眠時間が伸びているのか…それは眠くもなるけど、抱きつかれた状態で寝られるとこっちが寝られない…
「流石にこれは寒いでしょ…よいしょっと…お、重い…」
なんとか必死になって下じきになっている布団を上に上げて掛けることに成功。跡部君を持ち上げないので苦労したが、幸いにもそこまで時間はかからなかった。全く…世話をかけさせて、もう…
「zzz…」
気持ち良さそうに寝ているのを見て私も諦めて寝ることにした。…お風呂入ってないけど仕方ない。朝にでも入るとしよう…
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作者名:葉月 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/3f2cc79ad91/
作成日時:2019年3月10日 23時