検索窓
今日:5 hit、昨日:3 hit、合計:30,352 hit

349話 ページ20

*九条side*


初めて景吾様にお会いしたのは4年前だった。跡部財閥の子息がイギリスから日本に来た、ということでパーティーが行われた。


見た目は悪くない。だが、正直言って嫌いだった。あの場でピアノを完璧に弾いてみせて、勉学は私の上。立ち居振る舞い、語学…景吾様は私の上位互換でしかなかった。だから嫌いだった。


「…また負けた」


完璧と言われた私は1度も彼に勝てることはできなかった。だから必死になって彼に勝つために努力した。…結局、勉学では勝つことはできなかった。


中2の頃になると気付けば彼のことを好きになっていた。多分、テニスに打ち込む姿や、同年代で自分より上を行く人を初めて知ったこと、その悔しさのせいだろう。


中3の時に告白した。結果はダメだった。あまりのショックでその時のことはあまり覚えていない。


様々な男子が告白してきては断ってきた。もう数え切れないくらいいる。どんな男も一目惚れさせていた。なのに、振られた。


手に入らない物なんてなかった。現実的に不可能なものは例外として、今まで欲しいと思った物は手に入った。そんな中、唯一手に入らなかったのが彼。そんな二重の悔しさがあった。


「…お父様」


「なんだ?」


「私…好きな人ができたんです」


「どこの誰だ?」


「跡部財閥のご子息…跡部景吾様です」


そんな私の言葉を聞いた父は喜んでいた。相手として相応しいからだろう。さらに言えば自分達の会社の経営にも有利になるからだ。


「告白したのですが…ダメでした」


「もっと相応しい女になれ。そうすれば認めてもらえる」



そう言われたからさらに努力した。さらに自分を磨いて、ピアノ、バイオリン、社交ダンス、勉学、語学、言葉遣い……何もかもを完璧に近づけた。世界中の人から認めてもらえた。






なのに彼は私に振り向いてくれることはなかった。

350話→←348話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (22 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
53人がお気に入り
設定タグ:テニプリ , テニスの王子様 , 跡部景吾   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:葉月 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/3f2cc79ad91/  
作成日時:2019年3月10日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。