好きと嫌いは紙一重なのか？8【跡部景吾】 (ページ12)

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341話ページ12

「そ、それよりも手当てを…ここからなら救急車を呼ばなくても近いですから、早く行きましょう」

「気にするな。掠っただけだ」

「その出血の量でどこが掠っただけですか！…よかった。突き抜けてる。体内に残ってはなさそう。助かった…」

見栄を張っているだけだ。あまり良くないということは自分でも分かっている。それに、段々と痛みを増してきている。

「…？……え？」

Aが少し驚くような顔をしたのでそちらを見る。記者どもか。さっきの様子を見て危ないと判断したのと今すぐ記事にでもしたいんだろう。

「…！あの、あれは事実なのですか！？」

1人の女がそう訊いてくる。こんな時にも取材か。

「ああ、事実だ。現に見ていただろう？」

俺の腕を見て本当だと気づいたらしい。慌ててそいつはその場を去っていった。相変わらず記者がうるさいな…

「…流石に痛いな」

無意識のうちにそんなことを呟いていた。小声のはずだったがAには聞こえていた。

「でしょうね。というか激痛のはずでは？」

「…そんなことは…」

「眉間にしわ寄せて、説得力がないですよ。取り敢えず、これで傷口を押さえて…そこまで傷口は大きくないんでこれで押さえられるはずです」

無自覚のうちにそうなっていたらしい。…確かにもう激痛だ。いくら銃で撃たれた怪我の中では軽傷の方とはいえ、十分な怪我だ。そこまで傷口が大きくないというのもそういう意味だろう。

「やっと見つけた…俺ら大変な目に…って跡部！？」

「おいおい、腕が血だらけやで。…まさか」

「撃たれた」

「サラッと言うかよ！病院行け！」

そこまで慌てなくてもいいだろ…と思ったが、無理矢理急かされて病院へ行った。