296話 ページ17
「いや、そないに驚かんでも…声戻ったんやで？」
「そこじゃない！その笑い方だって！A、精神崩壊寸前だったのか…普通に会話出来てたからまだ大丈夫と思ってたけど、そこまで酷かったなんて…」
「なんやて？会ったんか？」
「今日会った。面会謝絶だったけど看護師さんに話したらAと医者に訊いてくれたみたいで会えた」
「そういう訳か。せやけど、別れたゆうてもそれは酷すぎひんか？依存しすぎやん」
そう。2人が別れたというのは忍足君から聞いた話だ。何やら訊きたいことがあったらしく、Aの本人がスマホは持ってなかったから病院にいるであろう跡部に掛けたらしいのだけど、その時におかしいと思ったのだとか。
「あー…あまり話したくないけど話すしかないよね…」
この話をして九条家を敵に回したらとんでもないことになる。というか勝ち目がない。九条麗子はあちこちで愛されて味方が多いし、証拠をかき消せる力もある。跡部のところとまでとはいかないが、敵に回すと相当厄介だ。
私はまだいい。規模が大きいからお互いに敵に回すのは避けたがるだろう。だが、この話を聞いた人を社会的に殺すことなど一般人程度なら可能だ。おまけにAの話からすればしそうである。
悩んだ挙句、経緯を忍足君にした。
****
「…それ、ほんまか？」
「ほんまですわ」
「あの九条麗子がそんなことするとは…にわかに信じ難い話やなあ」
「それがほんまなんですわ。裏表がある女やったんや」
「まあその話、信じるわ。ちゅうか、なんで関西弁なんや？」
「気分です」
手元にあった伊達眼鏡を付けて、アニメとかでよくある眼鏡の真ん中を押して上げるような仕草をやってみる。私の顔は多分何故かドヤ顔であろう。
「…まあええわ。んで、これからどうするんや？」
「考えは一応ございます」
「それ、なんや？」
「いやあー…言えませんね。計画全く立てていないもので。計画立てたらまたお話ししますわ」
キャラがおかしなことになっているが完全に気分である。というか、恐らく原因は緊張である。自分も緊張しているか理解できない脳になっているのである。
「分かったわ。ほな、ちょっと借りるで」
「…え？」
クッションを1つ持っていって部屋の隅に移動する忍足君。そしてそのまま寝た。
…夜中に何しに来たし、本当。
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葉月(プロフ) - みささん» このような作品ですが、読んでいただきありがとうございます！これからもよろしくお願いします！ (2019年1月19日 23時) (
レス) id: f4ed754532 (このIDを非表示/違反報告)
みさ - 初めまして。もう夢中になって読んでました。続きが楽しみです！ (2019年1月19日 21時) (レス) id: a32759bc4d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葉月 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/3f2cc79ad91/
作成日時：2019年1月13日 23時
