291話 ページ12
あれから迷った。迷いはしたものの、結論は出た。
「A。……別れよう」
病室に戻ってあいつにそう言った。今はこれが最善だ。他の手段もある。…が、どれも傷つけてしまう可能性が高い。なら、今のうちに離れておくべきだ。…いや、もっと前からそうすべきだっただろうな。
『分かりました』
返事は呆気なく感じた。躊躇せず紙とペンを取り、直ぐにこの返事。その上、あいつは笑った。以前のように無感情で、ただ口だけ笑ってるだけ。考えていることなんて読めなくなっていた。
「…はっ、笑えるぜ」
ある意味、これで良かったのかもしれねえな。もう冷めてたのかもな。病室から出てそんなことを思う俺は後悔だらけで俺様らしくねえ。
「…電話か。俺だ」
「跡部、自分やっと起きたか。まだ病室におるか？」
…忍足か。忘れ物か、あいつに用事でもあったのだろうか。
「…今の俺にあの場所にいる資格はねえ」
「…は？何言うとるんや。なんかのポエムか？」
「そのままの意味だ」
「…まさか自分…いや、まさかとは思うけど」
「切るぞ」
「おい、跡」
最後に忍足が何か言いかけていたがそれも聞かずに電話を切った。今その話をする気力はない。
「坊っちゃま…」
「…行くぞミカエル」
「…はい。承知致しました」
そのまま俺は家に戻った。そして俺らしくもなく何も手に付かず、しばらく部屋に篭った。
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葉月(プロフ) - みささん» このような作品ですが、読んでいただきありがとうございます！これからもよろしくお願いします！ (2019年1月19日 23時) (
レス) id: f4ed754532 (このIDを非表示/違反報告)
みさ - 初めまして。もう夢中になって読んでました。続きが楽しみです！ (2019年1月19日 21時) (レス) id: a32759bc4d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葉月 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/3f2cc79ad91/
作成日時：2019年1月13日 23時
