好きと嫌いは紙一重なのか？6【跡部景吾】 (ページ49)

今日:3 hit、昨日:1 hit、合計:37,930 hit

278話ページ49

*朱音side*

「シングルベールシングルベール鈴ならずー」

ただいま、一人なう。え？歌詞違うだろって？ジングルベルだろって？今シングルですから。それに鈴が鳴るだろって？替え歌調べてください。

「あの2人のラブラブシーンでも撮ってやろうと思ってたのに…私の方が迷子じゃんか。誰か連れてくるべきだった。とほほ…」

はい。私、現在迷子なのです。

「…あれ、電話？もしも『おい！A知らねえか！？』うるさっ！鼓膜死ぬ！」

名前確認すべきだった。確認してたらこんな大きい声で言われることを想定…はできないか。あれ、でも今2人はデート中のはず…まさか…

「あんたまさか…はぐれたの！？女の子1人置いて！？バカじゃないの！？手の1つでも握ってやりなさいよ、バカ！アホ！」

今、私も1人なので人のことは言いにくいかもしれないけど、事情が違う。このあほべ…あまりにも怒りに燃え上がっているせいか周りが明らかに避けている。

『…返す言葉がねえ』

「電話かけたの…って私にかけてきてるんだからもうしてるか…っていうか、Aは確かスマホ持ってなかった。パーティーで無くしたら嫌だって。捜索は？」

『上を見ろ』

「あー…把握。でも多分この人混みじゃあれだろうね…それに影薄くなりやすい環境じゃん。…へっくし」

上を見るとヘリコプター。手配したのね。っていうか風邪ひきそう。

「お、やっと見つけたで」

「あれ、忍足君？」

「電話中かいな。悪いな」

「いや、跡部だからいい」

『何がいいだ、おい』

「自分、デートやろ…ってまさか」

「そのまさかですわー迷子でーす」

「アホかいな。こういう時は手を繋いで…っていうのがお決まりやろ」

ええ、全く同じこと思ったわ。やっぱり跡部がアホなのね。

「とりあえずこっちも探すわ。場所はまあ…分かるわ」

「頼む。…本当に、悪い」

あの跡部が謝ったああああああ！？って叫びたくなるのを堪えて電話を切る。

「はぐれた場所とかなんで分かるの？」

「あいつ、俺にデートどうしようって相談してきよったわ。跡部に庶民の感覚は皆無やからな」

「そういう忍足君も結構な金持ちでしょ」

「恋愛は別やで」

「…そうなのね」

それで結果がこれですか…忍足君…教えてあげなかったの…？っていうか相談する跡部想像すると笑えるんですがそれは。