好きと嫌いは紙一重なのか？6【跡部景吾】 (ページ36)

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265話ページ36

「…朱音」

「何？」

「やっぱり…別れた方がいいのかな」

翌日。まだパーティーまでまだ少し時間があるのでふと思ったことを言った。

「な、なんで！？」

「どうせ別れるし…遅いか早いかなら早い方がいいかなって。後のことも考えたら…」

「Aはそれでいいの？」

「いいよ。跡部君は破棄させるって言ってたけど…跡部君にはお似合いの女性はいるだろうし。今でもなんで自分、って思うよ」

「跡部は？それは跡部のこと考えてるって言えるの？」

「それは…」

「Aが考えてるのは跡部の気持ちじゃなくて先のことばっかり。もうちょっと冷静になりなよ。あのピアニスト見て自信なくした？」

「うん。まあ…それに朱音、こういう時は頭いいね」

「遠回しにそれ酷くない！？」

でも、朱音のおかげで少しモヤモヤしたものは晴れたかな。昨日のことでやっぱり跡部君はモテるし、私よりいい人はいるしでやっぱり自信を少し無くしてしまったんだよね。弱気になってどうするんだか。

「さーて、準備！はい、ドレス」

「…派手だなあ」

****

「遅かったな」

外で少し待ってて、と朱音に言われて今少し待っていたところだった。突然リムジンが私の目の前に止まった。

「お待たせしまし…あの、どちら様で…？」

目を擦る。顔を叩く。2度見する。何度見てもそれは跡部君である。

「分かってるだろうが。乗れ」

「いや、あの…それは…ええと…」

「ほらよっと」

「うわああ！？え、浮いた！？浮いたあああああ！？」

理解するのに時間がかかったが、これが世に言うお姫様だっこというものらしい。

「お待たせA…あれ、A！？お前、待てー！」

朱音、以前のことがあったせいか誘拐犯と思ったらしい。驚いて暴れちゃったしね。これは反省。

「てめ…って跡部？何しに…って迎えか。じゃあ、ご一緒させていただきます。お邪魔はしませんので」

そのまま車に乗り込んだ朱音。これがもし誘拐犯なら一緒に連れ去られるんで一応後で言っておくか…

「ちょ、お前何乗ってやがる。自分の車で行け」

「何台も使う方が面倒。それに邪魔になる。2人のお邪魔はしませんので」

そう言って距離を取る朱音。まあでも…緊張で心臓が死ぬことはなさそうなので助かった。