好きと嫌いは紙一重なのか？6【跡部景吾】 (ページ34)

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263話ページ34

「A、ちょっと大丈夫？もう演奏終わったよ？」

「あ…うん。いつの間に…」

本当にあっという間の出来事に感じた。まだ1曲目のようにも感じた。

「私でもプロ顔負けだろって思うくらい上手かったけど…明日もあの人とプロが来て弾くんだけど大丈夫？」

明日もあるのか…プロも来るってことは明日の方が長いんじゃないかな。…どうしよう。

「私(わたくし)の演奏を熱心に聞いてくださってありがとう存じます」

え？あれ、さっき演奏していた方…？

「いえこちらこそ。とても素晴らしい演奏でしたわ」

「貴方様とは初めてお目にかかりましたが…このお歳でここまで熱心にお聞きになられた方は貴方様が初めてだと思いますわ」

多分小学生か中学生と勘違いされてるかな、これ。高校生なら熱心に聞く人とかもいるだろうし、絶対に年下に見られている。勘違いかもしれないし、ここは敢えて言わないでおこう。

「恐縮ですわ」

「そんなことはありませんわ。そのお歳でここまで立派な方はなかなかおられませんわ。ご両親がとても立派な方なのでしょう。、お名前を伺ってもよろしいでしょうか？」

やっぱり令嬢か何かと勘違いされてるのかな…まあ、こんなパーティー出てるしそう思われるか…

「佐藤Aと申します」

「佐藤様ですね。覚えておきますわ。明日もまたお願いしますわ」

そう言ってその人は去っていった。何をお願いするのだろう？それに自分の名前は名乗らないのか…って司会が言っていたかもしれないからこれは自分の責任か。

「おい」

「はい。…えーと、ご子息様？」

「その呼び方やめろ。…俺と踊っていただけませんか？」

あ、社交ダンス…っていいの？しかも敬語…珍しい…うっ、色んな女性が跡部君追っかけて周りに…目線がまた痛い。これはもう避けられないようです。よ、よし。こうなったら…

「はい、喜んで」

満面の笑みでそう言ってやった。跡部君のファンか小学生に成りきったら大丈夫でしょ！っていうかこれしか手段がないのです。

「…っ」

無言！？無言で踊り始めちゃったよ。っていうか身長差あれだな…30cmはあると思う。結構辛いのである。

相変わらず目線は痛かった。跡部君と踊れて私も嬉しいけど、殺されそうな気もしてきたのでなんとかしてください。