好きと嫌いは紙一重なのか？6【跡部景吾】 (ページ11)

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240話ページ11

*忍足side*

事件が起こる十数分前ーー

「…うわ。これ昨日準備したんだろ？それでこれかよ…」

「空野や佐藤以外にも有名人はおるからな。それもあってやろ」

「冷房涼C～…寝ちゃいそう…」

「ジローは何しに来たんだか…」

「お、おったおった…まだ大丈夫そうやな」

意外と相手も慎重な面もあるんか…？まあ、警備員もおるから誘拐とかは難しいやろうけど…それでも人混みのないところもあるし、それか人混みに紛れたら大変そうやな…

「跡部のやつ…酷すぎだぜ」

「誘ったんか？」

「まあ一応はな…あいつ『お前らの勝手にしろ。俺には関係ねえ。それに明日は全国大会だ』とかなんとか言いやがって…」

「相変わらずやな。いい加減ええ気も……」

…はあ。溜息も出るわ。何やっとんねん。

「忍足さん？何かあったんですか？」

「あそこ見てみい。不審者がおるで」

「…！本当だ。俺、捕まえてきます！」

「ちょい待ち！人の話は最後まで…」

「うおおおおお！」

…やってもうたわ。すまんなあ、鳳。っていうかあっさり負けてるやん。

「…今ので誰か分かったが、ありゃ完全に不審者だな。サングラスにマスクに黒のパーカーに…明らかに隠れてて挙動不審。ストーカーだろ」

「…ある意味合っとるな」

何だかんだ言うても、ちゃんと心配しとったんやなあ。愛想尽かしてないみたいで安心したわ。分かっとっても、やっぱりこの目で見たものが一番信頼できるわ。

「よう、跡部」

「何でお前らここに…！」

「そのセリフ、自分にそっくりそのまま返すわ。自分には宍戸が言うとるはずやろ。こっちのセリフやで。心配しとったんやろ？何もそこまで変装せんでも…完全に不審者やで」

「…否定はしねえ。それ以前に、あいつに合わせる顔なんてあるかよ…」

「あるで。自分、あんなことしたからとっくに愛想尽かされたとか思っとるやろ。もう自分がしたいことは佐藤が推理して分かっとる。というか、佐藤があれくらいで愛想尽かすわけないやろ」

驚く跡部。アホか、こいつ。普段の行動も挙動不審でバレない方が不思議やろ。…以前から思ってたけど、頭ええくせにアホやな。

「誰がアホだ、あーん？」

「…俺そんなこと言うたか？」

口滑らせて…ないよな？

「俺様の眼力は誤魔化せねえよ」

バカと天才は紙一重…このことやな。