たっち、あうと。

二十五 ページ27

遥輝視点

遥輝「ああああ、辛い―(泣)」

結構大きな声で叫ぶと、向かいに座った卓さんが、何度目かのため息を漏らした。

中島「遥輝はずっとそればっかりや、お前は俺よりAに会えるからいい方じゃ」

不満そうに俺を見ると、食べかけの料理に手を伸ばす。

杉谷「卓の言う通り！遥輝が俺達の立場だったら寂しすぎて四回は死んでるからね？」
遥輝「そやけど、、」

拳士さんも頷きながらご飯を食べている。

今日はカープとの試合で、マツダスタジアムまで来ていた。明日はやっと北海道に戻れる。一様明日は移動日だし、ということで卓さん、拳士さんとご飯を食べに来ていた。

杉谷「大体ね、君たちはなんなの？二人ともAの事好きなんでしょ？」
中島「何、この枝豆。剥けんちゃけど。」

杉谷「話そらさない！」
遥輝「Aは好きやけど、あいつ、鈍感でバカで天然だから、疲れるんです」
中島「確かに、あいつは色々理解してないな。いつ坂本さんや、山田に食われるか心配でならん」

そういえば、卓さんとAについて話たことあんまなかったな。やっぱり、どっちも片思いだから話しにくいし、、ライバル？だし。

拳士さんは、Aのこと大好きだけど、俺達とは全然意味が違うし。

杉谷「やっぱり、行動起こさないとだめだよ！あんなアホに通じないって」
遥輝「拳士さんに言われとうないと思いますけどね(笑)」

枝豆に手を伸ばしながら、半笑いで言う。

杉谷「なんかさ、聞いた事ないの？好きな人いんの、とか」
中島「聞けないわ！」

うん、さすがに、好きな人は聞けない。でも、、

遥輝「好きな選手の話なら向こうからベラベラいってきますけどね」
杉谷「え！？誰！！」

遥輝「うーん、青木宣親さんとかー、長野さんとか、、あ、松田さんも好きらしいですね、ホークスの。」
杉谷「あー、そういう系かー、なんかさ、うん。選手として好きって感じだね。全員既婚者だし。」

まあ、卓さんの名前も出てくるけどね。結構頻繁に。でも、言ってやらない。

中島「なんであんなに可愛いんやろ」
杉谷「ねー、なんかいちいち可愛い」

うんうんと頷く。

中島「笑顔は安定に可愛い。でも、なんかたまにインタビューに来た記者さんと長く話し過ぎると拗ねたみたいな顔して、「卓さん―」って寄ってくるのも可愛いし」

何それ。「遥輝−」って寄ってきた事ないんだけど。

卓さんの話を聞いてたら、とてつもなくAに会いたくなった。
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