My Dream 2

53 ページ6

.


You Side



＿＿くれぐれも無理はしないように、お大事にしてください

「すみません、ありがとうございました」



本当はお昼頃まで安静に、って話だったけど
ボイトレにダンス、場当たりも
本番までに確認したいところ沢山あったから
朝早く、病院を後にする

タクシーを拾って、事務所へ



「..もうすぐだな、ツアー」



２日後には、本番
明日は会場入りからの場当たりに通し

本当にライブ出来るのかな、なんて
思ったこともたくさんあったけど
こうして時間が刻々と過ぎていく度
絶対やってやる、って気持ちが大きくなる




「..あ、今市さん」

隆「..んだよ、朝からお前かよ」




事務所に入れば、受付の近くに今市さんが居て
少し小さな声で名前を呼べば、今日も絶賛不機嫌中な顔で振り向いてくれた



「昨日は本当、ありがとうございました」

隆「..は、何のこと」

「..えっと、昨日のその」

隆「...」



＿＿プシュ



「っわ、ちょっと！何するんですか」

隆「病院からそのまま来んなよ、病院臭い」

「ちょっ」



カバンの中をゴソゴソしだしたと思ったら
いきなり自分の香水を取り出して
私めがけて何回も香水をかけてきた今市さん

病院臭い、と言い残してそそくさと行ってしまった




「..な、なんなの」


身体全体から、今市さん臭がする
なんだかすぐそばに、本人がいるみたいな..そんな感じ




「５プッシュはかけ過ぎでしょ..」


そんなこと思いながらも
昨日のことを思い出して、少し幸せな気分になった




健「おおう、Aやん！おはようさ..

「あ！けんじろ！おはよ！」

健「..おん」

「..けんじろ？元気ない？」



ふと声のする方を見ればけんじろが居て
急いで近寄れば、ここにも不機嫌というか元気のない人が１人



健「..昨日何してたん？」

「え？あぁ、ええっと..」

健「電話も繋がらへんし、メールも返ってこーへんし！！健ちゃん心配やったで！！」

「あっごめんごめん！」

健「..オマケに隆二の匂い、めっちゃするし」

「え？なんて？」

健「な、なんでもあらへん！もう！！！」

「なに怒ってんの、けんじろ！」




スタスタと先に歩いていってしまうけんじろを追いかけるように
私もスタジオへと向かった

けんじろの怒りの原因は分かんないまま、だけど





.

54→←52

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す