もしもの話。【短編集】

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原作沿いかは微妙。所々ご都合設定かも。


「船長、“赤髪”を迎えます！」

船員の一人がそう言った瞬間、船内の空気が変わる。ぴりぴりとした独特の空気にまだ肌が慣れていないせいか、身体が無意識に震え出す。

そして、彼が白ひげさんの元へと近づいていく。その度にどさり、どさりとどんどん新人の船員達が倒れていく。マルコさん達のような隊長格は全然平気みたい。流石だ。
感心していると、興奮した様子の愛華に話し掛けられた。

「Aちゃん！ シャンクスが近づいてくるよ！すごいねっ！」

具体的に何がすごいのかは分からないが、確かに推しが近くにいる興奮は凄い。そういえば、この子の推しもシャンクスだったな、とふと思う。
私が友達と話していたとき「私もワンピース好きなんだ！」と会話に入ってきたことまで思い出した。
決して同担拒否というわけではないが、あれも苦手になったきっかけの一つだ。

そう考えている間に、シャンクスさんは白ひげさんの前に着いたようで、今まで閉じていた口を開く。

「失礼。敵船につき……少々威嚇した」

ああ、やっぱり彼はかっこいい。僅か数メートル先にいる彼を目に入れると、胸の鼓動がどくん、と大きく脈を打つ。

「療治の酒を持参した。戦闘の意志はない。話し合いたい事がある、と言いたいところだが____」

そう言って、彼の視線が此方に向いた。

「ナース以外の女を乗せるなんて、珍しいこともあるもんだな」
「グララララ……！ 其奴らは居候だが娘みてェなもんだ。空から急に降ってきたと言ったらおめェ、信じるか？」
「空から？ へェ……にわかには信じ難い話だが、“白ひげ”がそんな嘘を吐くとも思えねェ」

一歩ずつ、着実に私達と彼との距離が縮まっていく。やっぱり、彼も一緒なんだ。みんな愛華のものになっちゃう。

彼女が側で何か言っているが、全く耳に入らない。とても興奮しているのか、肩を何度も叩かれる。やめて、やめてよ。貴女は、私が今どんな気持ちでいるか、わからないでしょう？ 愛されることが当然の、貴女には。

「ほう……ここまで近づいても気絶しないなんて、大したものだな。俺はシャンクス。お前達も海賊か何かやっていたのか？」
「い、いえっ！ 私達は只の一般人です！ どうやって覇気に耐えているのか、自分でもよくわからなくて……！」

愛華がそう答えると、シャンクスさんは面白そうに笑みを深くした。
そして、言った。

「お前、ウチに入らないか？」


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