デンファレーuszwー ページ12
「俺、アイツと居ると凄え楽しいんだよ」
思い出したのは嬉しそうに語る彼の姿だった
『そうなんだ・・・良かったね・・・』
酔っ払って顔がほんのりと赤くなっていた
その顔は何よりも幸せそうに見えた
『やっぱりか・・・』
手元には一枚の紙があった
ーーーーーーーーーー
『ごめん・・・行けない』
「・・・そうか・・・残念だな」
電話越しに彼のため息が聞こえた
「お前には来てほしいって思ってたのにな・・・そっか。やっぱ残念だわ」
私の手には力を入れすぎてシワが入った紙がある
捨てられなくてそのままにしていた
紙には【結婚式】という文字が綴られていた
彼の名前が書かれている
『・・・ごめんね。その日はどうしても外せない用事があって』
電話の向こうに向かって笑顔を作った
見えはしないはずなのに
「まあ、それなら仕方ないか」
『本当にごめん・・・贈り物はするから』
「そんぐらいいいのに」
『だめだよ・・・私にはそのくらいのことしかできないから』
「ん?最後よく聞こえなかった」
『な、何でもないよ。気にしないで』
「ん、じゃあまたな」
『・・・うん。幸せにね。牛沢さん・・・ありがとう』
「え、は?」
私はそのまま電話を切った
間を空けずにスマホが振動した
彼の名前が表示される
私は静かに切るボタンを押した
何をするわけでもなく、ただ立ち尽くしていた
『やっぱり無理だったか・・・』
ボソリと呟き目元を拭った
『今までありがとう・・・ずっと好きだったよ』
そのまま床に座り込んだ
ーーーーーーーーーー
『・・・はい・・・それでお願いします・・・花は・・【デンファレ】で・・・わかりました。よろしくお願いします』
スマホをゆっくりと耳元から下ろす
『これで良かったんだよね・・・』
喜んでもらえるかな
クッションに顔を埋める
声を押し殺して涙を流した
彼が幸せなら私も幸せなんだと言い聞かせながら
デンファレ
【お似合いの二人】 【魅惑】 【有能】
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作者名:静輝 | 作成日時:2021年7月1日 16時