君との毎日に花を【TOP4】 (ページ2)

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リナリアーuszwーページ2

少し前を歩く彼を見つめる

見慣れた背中

いつからかわからないけど、ずっと一緒にいた

「A〜今日どうだった？」

彼は振り返りながら私に問いかけた

『うっしーこそどうだったの？』

質問を質問で返す

「あ〜意外と楽しかったわ」

今日は二人で映画を見て買い物をしてきた

勇気を出して私から誘った初めての「デート」

そう思ってるのは私だけって知ってるのに・・・

『そっか・・・私も楽しかったよ』

「・・・なんで今日俺を誘ったの？」

彼は何気なく尋ねてきた

思っていたことが見透かされた感じがして口ごもる

「A？」

彼が不思議そうに見つめてくる

『あ・・・ごめん。ボーッとしてて』

急いで作り笑いを浮かべながら声を絞り出す

「それで・・・どうして誘ったんだよ」

なかなかこの話題から離れてくれない

『・・・えっとうっしーが一番仲が良いからだよ』

「・・・一番？」

早口でまくしたてる私を怪訝そうに見つめてくる

『そう。だって友達は彼氏と約束あるしさー』

言葉が勝手に出てくる

『私彼氏とかいないからねー』

彼は何か言いたそうに口を開きかけたが、私は話すことをやめなかった

『それにさ、うっしーだって彼女とかいないじゃん。独り身どうし一緒にどうかなーって』

自分でも何を言っているのか分からなかった

『うっしーは一番仲いい友達だから』

一通り話し終えた後、彼の顔をあらためて見る

さっき開きかけていた口は閉じられて、唇を噛み締めているように見えた

「そうか」

彼はそれだけ言って前を向いた

そのまま無言の時間が過ぎる

さっきよりも歩く速度が速くなったように思えた

私は後悔した

なんであんなこと言っちゃったんだろうな・・・

素直に好きって言えたら良いのに・・・

伝えたらこの関係は壊れてしまうってわかってるから

絶対に彼は私のことを見てくれない

彼と歩く帰り道

地面に視線を落とす

道端には紫色の小さな花が咲いていた

リナリアという花らしい

顔を見られないようにそのまま歩く

きっと今はひどい顔をしてるから

二人で歩くこの距離は縮まることはない・・・

リナリア

【この恋に気づいて】【幻想】