ヒマワリーrtrtー ページ1
滅多に外に出ない彼が珍しく私をデートに誘った
暑い日差しがさす中、私は彼と大きな公園の中を歩いている
『どうしたのレトさん。いきなりこんなとこ来て』
隣を歩く彼を見つめながら話す
「・・・デート」
『え?』
「・・・デートしたかったから!」
彼は前を向いたまま暑さで赤くなった顔で言った
自然と顔がほころぶ
彼からデートに誘われることはあまり無かった
嬉しくて笑顔で彼を見つめる
「どうかした?」
顔が赤いままの彼は少し振り返る
『なんでもない』
そう言って私は彼の手に触れた
「っ!」
驚いたように肩をビクつかせた彼は私の手を払い除けた
「あっ!」
彼は気まずそうな顔をして私の手を見つめるとためらいがちに私の手を引き寄せた
私が握り返すと彼も同じように握り返す
そうして無言でしばらく歩いていた
「・・・着いたよ」
彼が足を止める
目の前にはひまわり畑が広がっていた
『え?どうして?』
訳がわからない私は呆然とその光景を見つめる
一斉に太陽に向かって咲く黄色の花
その光景に目を奪われて立ち尽くす
「Aちゃんひまわり好きだったよね?」
ひまわりから目を離せない私の顔を覗き込み彼は微笑んだ
『・・・どうして?』
「前にテレビで見たときに言ってたじゃん。行ってみたいって・・・」
彼は私を見つめ続ける
『うん・・・そうだったね。もしかして私がひまわり好きなのも覚えててくれたの?』
「・・・うん。Aちゃんを喜ばせたくて」
彼はひまわりを背にして私に笑いかける
その景色が私にとって何よりも綺麗で、何よりも美しいとそう感じた
『私がひまわりを好きになった理由知ってる?』
私も彼に笑い返す
「え?何なの?」
彼は首をかしげる
『教えてあげないよ!』
私は意地悪に笑う
「何それー」
彼は頬を膨らます
私は笑って彼の隣に並んだ
理由はね、あなたがひまわりみたいに明るくて眩しい存在だったから
だからあなたみたいな花が好きになった
それにね、ひまわりの花言葉は・・・
ヒマワリ
【私はあなただけを見つめる】
【恋慕】 【崇拝】
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作者名:静輝 | 作成日時:2021年7月1日 16時