チョコレート工場の新人ちゃん【チャーリーとチョコレート工場】 (ページ5)

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『あんたの父親はひどいやつだったよ。それに比べたら私はいい母親。なんせゴミみたいなあんたをここまで面倒見てやったんだから。』

いい母親？何言ってるのよ。

あなたは、私に見向きもしなかったくせに。

私は、私はずっと……。

なんだか、暖かい。

ここは天国かな？私はもう死んだのかな…。

不意に泣きそうになると、あの背中と、甘いチョコレートのにおいを思い出した。

違う。私は助かったんだ。

目が覚めると、まず視界に映ったのは、高級感あふれる模様が描かれた天井。

ゆっくり腰を起こすと、私は大きなベッドの上にいた。

ベッドの向こう側には暖炉があり、パチパチと音を立てて燃えている。

「静かだな…」

近くには大きな窓。もう夜みたい。外は雪がたくさん降っている。

そういえば、ウォンカさんはどこだろう。

お礼がしたい。

ベッドを降りようと横を見ると、すぐそばには椅子があり、その椅子の上にいるものと目が合った。

そこにいるものとは…………

「うわっ！」

小さいおじさんだ！！！

小さいおじさんが編み物してる！！

その小さいおじさんは、ピンクの服、メガネを身につけていて、まるでおばちゃんみたいな格好で椅子に座って熱心に編み物をしていた。

私が大きな声をあげたと同時に、向こうも体をビクッと震わせる。

………………………。

お互いに見つめ合ったまま、しばらく固まった。

すると、その小さいおじさんは、編み物をしている手を止め、ピョンと椅子を降りて、タタタタと走ると、ドアの向こうに消えてしまった。

小さいおじさんって確か妖精だったよね。

妖精を見たのは初めてだ。

あとでウォンカさんに教えてあげようかな。