チョコレート工場の新人ちゃん【チャーリーとチョコレート工場】 (ページ35)

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部屋の前に着くと、ウンパルンパが一人、ドアの前で体育座りをしながらウトウトしていた。そばには何か入った瓶と一枚のメモ用紙が置いてある。何か私に用があるのかも。

「どうしたの？」

私が来たのを見ると、ウンパルンパはパチっと目覚めて急いで立ち上がって、そばに置いてあった瓶と一枚のメモ用紙を抱えて私に手渡し、お辞儀をして行ってしまった。

部屋に入ると、電気をつけてウンパルンパからもらったメモ用紙に目をやる。

「あ、ウォンカさんからだ」

『Aへ。その瓶に入っている液体はウンパルンパが作った薬だよ。一応君は怪我人だからなんとなく渡しておいた。その薬を塗るとすぐ治っちゃうよ。あ、あとそれはルンパランドに古くから伝わる伝統的な方法で作られたものなんだって。暇があればその薬を月明かりにかざしてごらん』

私は部屋の電気を消すと、月明かりが注いでいる窓の方へ向かった。

窓から見える今夜の月は、どうやら満月みたい。

私は手紙に書いてあったように、さっそく瓶を月明かりに照らしてみた。

「わぁ…綺麗…！」

さっきまで透明だった薬の色は月明かりに照らされると、深く綺麗な青色になってキラキラと輝きを放っている。

私は海を見たことがないけど、きっと夜の海の中は月明かりがさして、こんなふうに神秘的なんだろうなって思った。

瓶を開けると、なんだかすごく落ち着くようないい匂い。

私はベッドに座ると、月明かりを頼りにその薬を膝の怪我してる部分に塗り、絆創膏を新しく貼り直したあと、その薬を窓台のところに置いて、ベッドに入ってキラキラ輝く瓶をぼんやりと眺める。

ウォンカさん、いつこんなもの用意してくれていたんだろう。

「…明日お礼言おう」

私はキラキラ光る瓶を見ているうちに、いつのまにか眠りについていた。