30話 御館様 ページ32
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_____翌日の朝、産屋敷邸にはにちか様やくいな様が庭で鞠をついている様子を幸せそうに眺めている産屋敷夫妻の姿があった。その姿を直接見ることは出来ないものの、楽しそうにしている雰囲気は自然と伝わってくるのか、御館様は笑みを浮かべている。
そのうち、静かだった産屋敷邸に、バサバサと羽根の音を鳴らしながら1羽の鴉が降り立った。
「……おや、鴉だね。」
鴉は御館様の指の甲に乗り、足に括りつけてある手紙を渡すと、流暢な様子で喋り始めた。
「伝令ィ!!紲条A、時透無一郎 任務先デノ異変確認デキズ!!至急連絡求ムトノコトォ!!」
「……あまね、手紙を読んでくれないか」
何か嫌な予感でもしたのか、先程より神妙な様子であまね様に問いかける。あまね様は依然として頷いた。
「はい。紲条様の筆跡で『指定の場所に仰っていた上弦の弐の痕跡が存在していませんでした。しばらくは他の調査を進めます故、再度指示をお願い致します。』と書いてあります。」
「そうか……やはりか。あまね、これを鴉に持たせておくれ」
彼は以前からこの調査に関して疑惑めいたものを感じていた様子で、あまり動揺の色などは見られない。懐から1枚の封筒を取り出し、あまね様に手渡した。
カァ、と一声鳴いて鴉が再び飛び立つ。
「あまね、私がなぜ彼らを共に同行させたかわかるかい?」
手紙を持った鴉を見送った後、御館様は再び真剣な面立ちに戻り、あまね様にそう問いかけた。
「そうですね……彼らはやはり記憶をなくしたという奇しくも共通点のようなものがありますが、それが関係していたりするのでしょうか」
「…そうだね」
「宇髄様も最近は療養のため屋敷に籠りがちでしたし、彼らと……竈門炭治郎達と会ったのは任務とはいえよい気分転換になったのでは?」
「ああ、今回の任務は残念ながら途中で帰ってきて貰ったが、これもあの方の……囲炉里殿からの頼まれごとだしね。天元には申し訳ないけれど、あの一件以来炭治郎達も心配していたし、良い機会だったよ…………ああ、今日はいつにも増して空が高い」
上空では大きな鳥が大空を旋回している。
御館様はそれを仰いでから、いつか訪れる「何か」を待ちわびるように口を開いた。
「……2人が、お互いに良い刺激を受け、更にそれを与え合ってくれると信じているよ」
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ほしいも(*^^*)(プロフ) - 設定めっちゃ自分の好みでした!(笑)更新少しずつでいいので頑張ってください〜!😁 (12月13日 16時) (レス) @page40 id: 88768a4726 (このIDを非表示/違反報告)
向汰(プロフ) - 空桜さん» そう言っていただけて嬉しいです!それに、私以外にも頑張っている方がいらっしゃるのだと思うと少し肩の力が抜ける気がします(´˘`*) 試験頑張ってください。応援しています (2019年9月23日 1時) (レス) id: 1112aaa288 (このIDを非表示/違反報告)
空桜(プロフ) - 待ってますね!私も就職試験あります。お互い頑張りましょう! (2019年9月23日 1時) (レス) id: e5333279ca (このIDを非表示/違反報告)
向汰(プロフ) - 何卒さん» ありがとうございます〜〜!気長にお待ちください(´˘`*) (2019年9月22日 21時) (レス) id: 1112aaa288 (このIDを非表示/違反報告)
何卒 - めっちゃ気になるところで終わってしまってウズウズしてます。笑 続き楽しみにしています! (2019年9月21日 1時) (レス) id: 58baba6999 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:向汰 | 作成日時:2019年8月25日 1時