【曇天に笑う 男主】空っぽ青年には何も『無』い 第二部

43話 ページ12

「空丸さぁぁぁぁぁぁん。逃げられました！！！」
「またかよ！？」

もう、俺は驚かないよー。

日常と化してるけどそろそろコイツラから金とってもいいんじゃないかなーと思います。

そんなことを思っていると空くんが颯爽と行こうとするので俺は行く手を阻む。

「ダメデース」
「え！？Aさん！？」
「さっき稽古でボロボロになってたじゃない。許しませーん」
「で、でも！！」
「俺が行くから錦ちゃん見ててね」
「ちょ、な、Aさ…！！」

グイグイと空くんを室内に押し返す。

空くんは納得していない顔をしているが俺だって譲れない。

「大人しくお留守番しててね？」
「っ、こ、子供扱いしないでください！！」
「そんなことないない」

あははと笑いながら空くんの頭を。

…頭、を。

……頭をなでた。

何故か、空くんはこれに弱い。

今となっては緊張するものだが大人しくしてくれないと困る。

これ以上彼に危害が加わるようなことは避けたい。

本当は、稽古なんて辞めさせたい。

だけど、知らなかったとはいえ自分から薦めた手前そんなことできる筈がない。

なら、せめて護送人の取り逃がしは俺が…。

「警官いるし、刀下げてもいいですよねー」

有無を言わさない威圧的な態度で二人を軽く脅し絶対に鞘から出さないことを条件にあの刀を下げる。

うん。久しぶりの感覚だな。

「じゃあ、行ってくるね空くん」
「怪我したら許しませんから」
「はいはーい」

空くんに手を振って二人を先導して歩く。

「Aさん。あの女って風魔…ですか？」
「はい、そうですよ？」

突然髪のない方の警官に聞かれた。

俺はさらりと答えたが何か気になることでもあるのだろうか。

「いいんですか。忍びなんかを簡単に家に入れて」
「？」

言葉の意味がよく分からなくて首を傾げる。

「えっ、お前白子さんは…」
「阿呆！白子さんは別だ。めっちゃ良い人じゃんかっ」
「？」
「忍って金とかで雇われてんでしょ。何考えてんだか…」
「ボロボロだったけど同情を引くためにもしかして自分でーーーーー」
「錦ちゃんは、そんなことしませんよ」

ふいっと前を向いてスタスタと歩く。

思いのほか下らなかった。









ただもし、仮に大蛇様に害なすものだったら。

俺はその害を排除するのみ。

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