ファーストインプレッション side天 ３ ページ21
自販機で水を買おうと思っていたら自販機のところにあの人がいた。ボクが思わず声をあげるとあの人はこちらを見て挨拶をした。
しまった、気まずい……。あの飲み会以来初めて会う。しかも二人きり。
しかしこのような機会はめったにないのでボクは改めて飲み会のお礼をするために近づいた。人としてお礼を言わないといけない。
「この前はありがとうございました」
「……いえいえ気にしないでください」
数秒間があったがそう返した。いつものように笑顔は崩さない。ボクはそのまま謝罪を口にする。
「菓子折りだけ事務所に送って、今日まで直接お礼が言えず、すみませんでした」
「菓子折り……」
おうむ返しにそう言われて一瞬ドキッとした。まさかこの人、覚えてない……？
「あのお菓子とてもおいしかったです、ありがとうございます。でも今度からはそんなこと気にしないでいいですからね？当然のことをしたまでですから」
一瞬そんなことを勘ぐったがさらっと言葉を紡いだ相手の反応から見るにそれはないと思われる。ボクは気まずさから視線が泳いで言葉を濁しながら返した。
「本当に気にしなくていいですからね？私もあの人には絡まれましたし……」
そんなボクの様子を気にしているととったのかそう言ってくれる。その言葉を聞いてボクは思わず口を滑らせた。
「ああ、カッコいいですもんね」
「え」
え？しまった失言！
思わず口を押えて相手の顔色を窺う。
すると彼は瞬きを数回繰り返した後、ぶわっと顔を赤くした。それから顔を手で隠して慌てて顔を背ける。
ボクは初めて見る彼の表情にあっけにとられた。
「ありがとうございます」
そんなことを言っているが耳まで真っ赤である。
褒められ慣れていないのだろうか。笑顔以外で初めて見る表情だった。
もっと、いろんな顔が見たい。
そんなことを思った矢先に彼の携帯に着信が入った。
「あ、すみません九条君。これで失礼しますね」
ニコッといつもの営業スマイルに戻った彼。意表を突くためにボクもにっこりと笑い返した。
「はい、引き留めてすみませんでした。それではお互い頑張りましょうね、
「は……」
ぽかんとした顔。あほ面だ。
ボクは彼のその表情を鼻で笑ってその場を後にした。
第一印象のニコニコサイボーグから褒められ慣れてない変人に称号変更。
これからどんな手を使って彼の笑顔を崩せるか楽しみだ。
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隣の住人E(プロフ) - 來飛さん» コメントの返信が遅くなってしまいすみませんでした！！無事に完結いたしましたのでぜひ拝読よろしくお願いします。 (2016年11月13日 23時) (
レス) id: 6abf6c0f46 (このIDを非表示/違反報告)
來飛 - とても面白かったです！更新頑張ってください！応援しています！ (2016年10月30日 12時) (レス) id: 1f9f56f521 (このIDを非表示/違反報告)
さかこ(プロフ) - 名前無しさん» ありがとうございます！ぼちぼちになりますが頑張ります！！ (2016年8月16日 21時) (レス) id: 83c9e401f7 (このIDを非表示/違反報告)
名前無し - とても面白いです！！ 更新頑張って下さい！ (2016年8月16日 17時) (レス) id: 21dac15c14 (このIDを非表示/違反報告)
そーちゃん - 続きが気になります。頑張ってください。 (2016年7月15日 20時) (レス) id: 42a98c0758 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：隣の住人E さかこ x他1人 | 作成日時：2016年5月30日 18時
