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今日は主の歓迎会にしよう。
あの後、僕達は長い長い時間をかけて話し合って、ついに新しくできた主を本丸総出で迎えることにした。
誰がはじめにそう言ったか覚えてないけれど、久々の歓迎会の準備にはとても腕がなるものがあった。
前の審神者がいたころから、今まで
皆の気分を少しでも紛らわそうと、僕は食事に趣向を凝らしてきた。
それでも、大広間で食卓につく者たちは一人、二人と減っていき、ついに厨当番仲間だった歌仙君まで居なくなってしまった。
僕達刀剣は、食べなくても生きていける。
つまり、食事は必要ない。
けれど、厨に立って歌仙くんと談笑しながら料理をしたり皆で同じ食卓について同じ料理を囲むのは、僕にとって最大の楽しみで、生きがいの一つだった。
食卓につく者たちが減っていくにつれて、僕が厨に立つ回数も減り、やがて全くなくなってしまっていた。
それが、彼女が来てから変わったのだ。
彼女と並んでおにぎりを握った日から、僕は再び朝、昼、夜と厨に立ち、米を炊いてお出汁から味噌汁を作って、作業で疲れた主たちのために冷茶を淹れ、おやつに羊羹やお饅頭を作った。
誰かのために、美味しいものを作るのが楽しい
誰かが僕の料理を喜んでくれるのが、嬉しい
彼女のおかげで、僕は昔の毎日をゆっくりと取り戻した。
本当に、主には感謝しかない。
火にかけていた寸胴の蓋を開けると、中で煮詰められた煮物の甘辛い香りが立ちのぼってくる。
けれど、どうにも何か足りない。
香りが甘辛いのは良いんだけれど、なんというか……しつこい？
くんくんと鼻を鳴らして香りをかぎ、何が足りないのか思案していると、後ろでしゅる、と音がした。
「生姜、入れたのかい？」
「え？」
振り返ると、そこには内番服姿でたすきをかけている歌仙君がいた。
「ああほら、香りがしつこくなってる。これは中々雅じゃないねぇ、鶏と大根の甘辛煮に刻み生姜を入れ忘れるなんてきみらしくもない」
ひと目鍋をのぞき込んだ歌仙君は、用意していたのか手にしていた生姜を隣で刻み始めた。
歌仙君の内番服姿なんて、いつぶりに見ただろうか。
いや、それよりも
「ほら、つったってないでご飯の具合を見てくれよ。君だって焦げ付いた米を食べたくないだろう」
「……うん！」
歌仙君とまた同じ厨に立って、同じ料理を作っている。
僕は窯の蓋を開けながら、そっと目尻を拭った。
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雪 - 頑張って下さい (2021年1月13日 13時) (
レス) id: ed2686deb5 (このIDを非表示/違反報告)
cherry_chan0111(プロフ) - 続編おめでとうございます！ほんとにこのお話だいすきです！！ (2017年7月30日 19時) (レス) id: 1f676652e8 (このIDを非表示/違反報告)
飛鳥 - 今更ですが、続編おめでとうございますッッ！続きが物凄く気になります（；・д・）体調も管理してあまり無理せず更新頑張ってください！応援しています(o^−^o) (2017年7月29日 21時) (レス) id: b0e4747324 (このIDを非表示/違反報告)
零兎(プロフ) - 続編おめでとうございます。かなり良いところで続編に行ったのでとても気持ちが盛り上がっています。良ければ更新頑張って下さい。 (2017年7月24日 8時) (レス) id: 3e66d5b416 (このIDを非表示/違反報告)
ミミキ(プロフ) - 続編おめでとうございます(^^)続きが読めてとても嬉しいです(^^)更新頑張ってください(^^)応援してます(^^) (2017年7月23日 21時) (レス) id: 75b3aa666b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おちゃまる | 作成日時：2017年7月23日 21時
