お兄ちゃんは絶対私が守る。

涙 ページ39

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野薔薇 side



真希さんとAが任務から帰ってきて数日。


日中任務で高専に居なかったAに、渡すものがあるから私はAの部屋を尋ねた。



LIN○すんのもめんどーだし、寮も部屋近いしね。


コンコン


野薔薇「A〜いる〜？」


夜11時前。

やや遅いし人を尋ねるには非常識な時間帯かもしれないが、私達呪術師はこんな時間に帰ってくるのも起きてるのも珍しくない。


Aも遅くまで起きてる方が多いって言ってたし、当然起きてるだろうと何度か名前を呼ぶ。

だが、出てくる気配がない。


野薔薇「A？もう寝たのー？…あ、」


不意に回したドアノブが回り、扉が開く。


無断ではいるのも気が引けたけど、中から明かりが漏れていて、起きているのが分かり、そのまま部屋に入った。


野薔薇「いるなら返事しなさいよ、これ、今日せんせーが…」


そこまで言って言葉を噤む。


Aは机に伏して眠っていたのだ。


そして何気に初めて入るAの部屋。

Aの机の近くの壁、ベッド近くの壁には、Aが描いたであろう…虎杖の絵ばかり。

どれも満面の笑みで、本当に幸せそう…。


凄い量の数、もしかしたら虎杖が亡くなってから描いたのだろうか、まだそんなに日は経っていないのに…こんな量…。



野薔薇「…あ、この間の隈…。」




普段Aはナチュラルメイクをしてるが、一日だけ、寝坊したのかメイクをしてこなかった日があった。


訓練初めて少ししてからメイクしていたけれど、すっぴんだった時に見えたAの目元。


酷い隈だった…。


笑顔で…作った笑顔でいつも明るく振舞って居たけど、眠れていないのね。

そりゃそうよだって家族が死んで平気なわけない…。


あの日から、あの翌日から…Aは、変わっ…____



『…ぉ、にぃ…ちゃ……』


野薔薇「！！」


数ある絵を眺めていれば、下から聞こえるAの声。


驚きとっさにAに目をやった。



Aは、泣いてた…。





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