お兄ちゃんは絶対私が守る。

違和感 ページ35

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野薔薇「ちょっと待って、私は？」



私のことも名前で呼べ、そう言う野薔薇。

どう考えても恵くん呼びから伏黒先輩呼びは違和感が大きいらしい。


『？…釘崎先輩？』

野薔薇「キモイ！！！」


禪院「なんだよ野薔薇。本来後輩の呼び方としては正しいだろ？」


野薔薇「昨日まで野薔薇ちゃん呼びだったんですよ！？聞いてませんでした！？」


恵「それは俺も思った。なんでいきなり変えたんだ？」


野薔薇はAの肩を掴み前後にぐわんぐわんと振っていた。

それを伏黒が手で制し、Aに問いかける。


『…私から見て貴方達は兄の友人、貴方達から見て私は友人の妹。

兄の居なくなった今、私たちの間にある関係はただの先輩後輩だけです。』


そう、変わらず笑顔で答えるA。

言っていることが無茶苦茶だ。

それはつまり野薔薇も恵も、友達だとは思っていないということ、兄のオマケということ。

そういうことだ。



野薔薇は友人の妹としてではなく、1人の女友達として接して来たつもりなのに。




野薔薇達は目に見える様に不機嫌になる。

だがAはそれが全てで今考えている事の全容だ。


野薔薇「…私はAの事友達と思っていたのに」


『……そうですか。』




……Aはそれ以外言わなかった。

笑顔を崩さなかった。


狗巻達2年生は今日、いや昨日初めて会ったばかり。

だから違和感も無いだろうが、2週間程共に過した恵と野薔薇にとって今の笑顔を崩さない、敬語で、感情の無いAはどうしようもなく気持ち悪く見えた。







禪院「……あー…まぁ、やるか。特訓。」


『お願いします。』



微妙な空気を断ち切るように発せられた禪院の言葉。

それをしきりにみんなそれぞれ動きだし、Aも風で作った剣を握り直して禅院に向かった。








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