Dieci ページ10
「あっ!Aちゃんやぁ、お久しぶり!」
軽快にドアを開けたのはベルギーさん。確かに久しい。半世紀ぶりくらいだろうか?
すると彼女は鼻をひくつかせ、嬉しそうに、
「もしやけど…タルト焼いてきてくれたン?」
と聞いた。
自信なさげに頷くと、彼女の唇は弧を描き、冷えるから入り!と私の腕をぐいぐい引く。
「今日はハンガリーちゃんも居んねんで!一緒にタルト食べよや!」
聞き間違いだろうか、耳を疑った。
「ちゃん…?女性なんですか?」
そう聞くと、彼女は目を見開いていた。
「せや!もしかしてやけど…お初さん?昔は男の子っぽかったけど、今はかっわえぇ女の子やで!これを機に仲良ぅしよ!」
不安があるものの、彼女の待つ部屋に足を運んだ。言われた通り、ふわふわのブロンズに紅い花が映え、白い肌が綺麗な女性だった。
「ベルちゃん?そちらは…」
「あっ!Aと申します!こちらタルト焼いてきたので…一緒に食べませんか!?」
緊張して早口になってしまったが、それを気にも留めず、
「私、ハンガリー。宜しくね。」
とっても嬉しい、私、タルト大好きなの、そう言って彼女はふわりと笑った。
タルトも1/3以下になった頃には、彼女ら3人は女子トークに花を咲かせていた。
「Aちゃん羨ましいなぁ〜っ、スペインとロマーノ君と一つ屋根の下でしょう?」
「わ、私は召使いなだけで…。」
「寧ろハンガリーちゃんこそ、オーストリアさんとはどうなん?」
「えぇっ!?そ、そんなんじゃないからっ」
否定しつつ顔を真っ赤にする彼女はとても愛らしかった。プロイセンめ、今度会ったら一発殴らせろ。
「ウチは兄さんとルクセンブルクとずっと一緒やから、そんな浮いた話無いなぁ…Aちゃんの立場になってみたいもんやぁ」
「そうよね!こんな可愛い子がメイドさんだったら、私絶対惚れちゃうもの!」
「せやろ?例えば…起こしに来てくれた時に"一緒に寝よやぁ"とか言って添い寝してまうやもしれんな!」
「きゃぁ!ベルちゃん大胆!」
二人が揶揄うから、顔の血流が良くなってしまった。しかも、家に帰ったら彼らの事を意識してしまいそうだ…。
「Aちゃんっ、トマトみたいになってて可愛ぇえなぁ〜っ」
「お二人が揶揄うからですっ。」
女子とこんな会話をして盛り上がれる日が来るとは、夢を見ているようだった。
「あっ!後そうそう、この話聞いた?」
彼女はある招待状を手に取った。
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藤子(プロフ) - あんこさん» 初めまして!コメントめちゃめちゃ嬉しいです!!あんこさんをときめかせる事が出来たようで何よりです〜!! (2019年3月26日 17時) (レス) id: 667f2e653e (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - 藤子様、初めまして。本当に素敵な作品で、悶絶しながら読ませて頂きました!ロマの台詞にきゅんきゅんさせられてばかりでした。幸せな時間を過ごさせて頂きまして、誠にありがとうございます。不躾ながら完結から随分と経っているのにコメント失礼致しました。 (2019年1月9日 22時) (レス) id: 6e1ddb073f (このIDを非表示/違反報告)
藤子(プロフ) - パン粉さん» わぁ!ありがとうございます!!お気に召していただけたようで何よりです! (2018年11月29日 22時) (レス) id: 771e5159cf (このIDを非表示/違反報告)
パン粉(プロフ) - とても好きです……。 (2018年10月13日 14時) (レス) id: c18102f006 (このIDを非表示/違反報告)
ツナ缶アイス - 藤子さん» はい、福島の人なんです!wwやっぱりヘタリアについて語るのは楽しいですね!8時間くらい語れそうです!ww (2018年8月18日 19時) (レス) id: ec47fd7e2a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藤子 | 作成日時:2018年8月3日 23時