スペインさん家のメイドさん。【APH】

Ooto ページ8

そして現在に至る訳だが。

アイスランドとはいずれ話をしたい。イギリスにあの夜の記憶が無いことは既知。彼を責めても仕方ない。オーストリアさんには悪いが、引き抜きの話は断るつもりだ。

ところで、ハンガリーさんというのはどのような方だろうか？
ドイツさんの兄、プロイセンは「フライパンを振り回すおっかない奴」と言う。恐ろしい男性だ…

考え事をしていると、誰かの腹の音が鳴る。

音の方向にはトマトのように赤くなった親分。
あかんわー、ロマーノと言い合いしてたら腹減ってもうたー、などと言って笑っている。

「Cena(夕飯)にしましょうか。
お体を冷やしてしまいますから、屋敷に戻りましょう。」
笑いは堪えたものの、どうしても微笑んでしまう。ロマーノ坊っちゃまも同じ、否、それ以上に馬鹿にした笑いをしている。

今日は彼らの好きなトマト尽くしにしよう。

昨昼。オーストリアさんから手紙を渡された。差出人を確認しようと手紙を翻す。

目を見張った。
見覚えのある、彼の字だった。

Min kære(親愛なる)Aへ
Fra dit moderland(貴方の祖国より)

怖くてまだその手紙の封も開けていない。…懺悔だろうか？それともフェロー諸島に何かあったのか？嫌な想像ばかりしてしまう。
その手紙は部屋の引き出しの中で眠っている。しかしなぜ、今なのだろう。

私の事を覚えていたという歓びと、
私の事は放っておいてほしいという自棄が入り混じって、頭の中がぐちゃぐちゃだ。

それに気付いたのか、親分が心配そうに私の顔を覗き込む。
ご心配には至りません、と微笑むと、"元気の出るおまじない"をしてくれた。
これ以上何か勘付かれてはまずい。余計な心配は、召使いの私には無用だ。

意を決して、手紙の封を開けた。

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