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Ventitre ページ23

呪いに呪いを上乗せさせられたような感覚。諸島には消えて欲しくない。けれど、私が消え逝く為にはそれしかない。

あぁ、生きねば。生き長らえなければ。
私の故郷が消えてしまうのだ。

悲観的な思想にしか陥ることが出来ない。どうして私はこんな考えしか出来ないのだろう。

二人と別れてから、会場の人々から、好奇心による質問攻めをされ、すっかり草臥れた。私も宴会嫌いになりそうだ。

人々の興味も薄れた頃、軽快で優美な音楽が流れ始めた。男性が女性に声を掛け、踊り出す光景も見受けられる。

マイクの電源が入った。
「便宜上、舞踏会って事になってるからね!さぁ!美しき我がフランスで、華美で優雅なひと時を!」
フランスさんが高らかに宣言する。確信した。あのテンションはアルコールが入ってる。

しかし、一人で会場を回っていた事に加え、新入りの私に声を掛ける殿方なんて居ない。

手持ち無沙汰でいると、聞き慣れた声に呼ばれた。

「…A。

Vinsamlegast dansaðu með mér(僕と踊ってくれませんか)?」

おずおずと差し出された手に、自分の手を重ねる。先程の言葉を発した唇は紡がれ、紫の硝子玉は斜め下を向いている。

Auðvitað(喜んで)!」

私の踊りはというと、故郷に唯一伝承されているチェーンダンスのお陰で、何とか様になっている。彼の踊りは対照的で、ぎこちない私に合わせて優しく先導してくれる、彼の人柄が滲み出ているような踊りだった。

時間も経過し、踊りにも慣れてきた頃に、彼がこう切り出した。

「ねぇ、A、知ってる?」
「なぁに?」

紡がれた言葉は、刃のように私の心を抉った。

「"国"になった人物は、その場所から長く離れちゃいけないの、知ってる?」


返す言葉を失った。

それはつまり、彼らとの断絶を意味していた。

最初から私に選択肢など無かったのだ。盤上に出されたのは、故郷に帰る、その一択のみ。

「…し、らない。そんな事。」

私の言葉を遮るように、彼は耳元で囁いた。

「そんな事言っても決まりは決まりだし…A、辛いだろうけど、フェロー諸島に一週間以内に帰ってくること。いいね?」


音楽が終わりを迎える。

同時に、私の夢のような生活も、終わりを迎えようとしていた。

Ventiquattro→←Ventidue



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設定タグ:ヘタリア , APH , ロマーノ   
作品ジャンル:アニメ
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藤子(プロフ) - あんこさん» 初めまして!コメントめちゃめちゃ嬉しいです!!あんこさんをときめかせる事が出来たようで何よりです〜!! (2019年3月26日 17時) (レス) id: 667f2e653e (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - 藤子様、初めまして。本当に素敵な作品で、悶絶しながら読ませて頂きました!ロマの台詞にきゅんきゅんさせられてばかりでした。幸せな時間を過ごさせて頂きまして、誠にありがとうございます。不躾ながら完結から随分と経っているのにコメント失礼致しました。 (2019年1月9日 22時) (レス) id: 6e1ddb073f (このIDを非表示/違反報告)
藤子(プロフ) - パン粉さん» わぁ!ありがとうございます!!お気に召していただけたようで何よりです! (2018年11月29日 22時) (レス) id: 771e5159cf (このIDを非表示/違反報告)
パン粉(プロフ) - とても好きです……。 (2018年10月13日 14時) (レス) id: c18102f006 (このIDを非表示/違反報告)
ツナ缶アイス - 藤子さん» はい、福島の人なんです!wwやっぱりヘタリアについて語るのは楽しいですね!8時間くらい語れそうです!ww  (2018年8月18日 19時) (レス) id: ec47fd7e2a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:藤子 | 作成日時:2018年8月3日 23時

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