Tre ページ3
掃除、洗濯、朝食の準備を終わらせたら、近くの布団叩きを手に取り、部屋に向かう。
躊躇いもなく、思春期真っ只中の男子の部屋を開け、布団叩きをしならせ大声で叫んだ。
「ロマーノ坊っちゃま!
何時だと思ってるんですか!正解は7時です!
「質問と答えの間隔狭すぎんだろ…」
目覚めて間もなく突っ込みを入れる、流石ロマーノ坊っちゃまです。
…感心している場合ではありませんでした!
早く起こさないと…本日は来客が入っているのです。確か…
男性らしいのですが、ここは一つ嘘を。
「坊っちゃま、今日は御来客があるのですが、何といっても東欧美人だとか。」
彼は、がばっ、という効果音が似合うくらいに勢いよく飛び起きた。
そして、翠色の瞳を輝かながら、服の見繕いを頼んできた。
彼が絶望する顔を見れるのは、その半日後。
「全く、スペインのお馬鹿さんが、きちんと躾けられてるか様子を見に来たら…。」
何ですかこのザマは!と、ぽっこーという効果音と共に顔を真っ赤にさせた。
親分と子分はお構いなく言い争いを続ける。アホ毛を引っ張ったとか引っ張らないとか。
「絶対わざとだろ!俺の超エレガントな髪に触りたくなる気持ちは分かるけど、いい加減やめろ!」
「やから、わざとやないんだってば!手が当たっただけやって!」
はぁ、と溜息をついたオーストリアさん。
変わってませんね…と一言呟いた後、私の方に向き直る。
何かしてしまったのだろうか、と緊張した趣で固まっていると、ふっ、と息の吐かれる音が聞こえた。そんな心配は必要ない、とでも言うように、彼は言った。
「変わってない、といえば、貴女もですね、Aさん。彼此、数十年近くここ勤めてますよね?毎日お疲れ様です。」
これからも彼らの事、頼みましたよ。
そう言う彼の微笑みは可憐な花のようだった。
「しかし…これ程の働き者とは…。私の家にも欲しいくらいです。」
「はぁ!?ふざけんなこの野郎!」
「せやせや!そっちにはイタちゃんがいるやろ!寧ろイタちゃん欲しいわ!」
「何だと!?俺が使えねぇとでも言いたいのか!?」
「冗談ですよ。この事になると、息が合うんですから。」
そろそろお暇します、そう言って歩き去ろうとする彼に、耳元で囁かれた。
"仕事に疲れたらいつでもどうぞ。
私もハンガリーもお待ちしております。"
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藤子(プロフ) - あんこさん» 初めまして!コメントめちゃめちゃ嬉しいです!!あんこさんをときめかせる事が出来たようで何よりです〜!! (2019年3月26日 17時) (レス) id: 667f2e653e (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - 藤子様、初めまして。本当に素敵な作品で、悶絶しながら読ませて頂きました!ロマの台詞にきゅんきゅんさせられてばかりでした。幸せな時間を過ごさせて頂きまして、誠にありがとうございます。不躾ながら完結から随分と経っているのにコメント失礼致しました。 (2019年1月9日 22時) (レス) id: 6e1ddb073f (このIDを非表示/違反報告)
藤子(プロフ) - パン粉さん» わぁ!ありがとうございます!!お気に召していただけたようで何よりです! (2018年11月29日 22時) (レス) id: 771e5159cf (このIDを非表示/違反報告)
パン粉(プロフ) - とても好きです……。 (2018年10月13日 14時) (レス) id: c18102f006 (このIDを非表示/違反報告)
ツナ缶アイス - 藤子さん» はい、福島の人なんです!wwやっぱりヘタリアについて語るのは楽しいですね!8時間くらい語れそうです!ww (2018年8月18日 19時) (レス) id: ec47fd7e2a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藤子 | 作成日時:2018年8月3日 23時