Dodici ページ12
「ただ今帰りました!」
息を荒げながら、勢いよく玄関を開ける。それと同時に何かがぶつかってくる。
「Aちゃぁん!おかえりぃぃ」
「遅ぇぞコノヤロー!お前が居ない所為で家事が全然捗らねぇぞ!」
帰ってきたかと思えば二人に抱きつかれ、火照った身体が更に熱くなる。友人に言われた台詞を思い出し、余計に意識してしまう。
「わ、わかりましたから!支度が終わり次第早急に着手しますので、一旦離れて下さい!」
流石、頼りになるわぁ、などと言いながら彼は離れて行ったが、まだ身体が温かい。
「あの、坊っちゃん…?」
もう一人は黙ったまま抱きついている。まるで長年会っていない母親に甘えるように。
「A、堪忍や!ロマーノな、Aが居らん間、めっさ寂しそうにしてたんやから。」
家を留守にしたのは二日間なのだが、それでも私を恋しがってくれるこの少年に、心の底から愛情が溢れた。
「坊っちゃま。私はどこへも行きませんよ。」
自然に手が彼の首に回った。男とは思えないほどきめ細かく、白い肌を指先でなぞる。だが、その白い肌が途端紅く染まった。
「なっ、何してんだっ、こんちきしょー!」
そう言うや否や彼は走って逃げてしまった。
自分で自分が恥ずかしくなり、その場で硬直した。召使いの身で、主人と抱き合うなんて、懲戒免職に十分値する暴挙。日本流に腹を切るでも良い。
「ふぉぁあ…Aちゃん、大胆やなぁっ!」
彼の声で我に還り、私が戻ってきた理由を思い出した。
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藤子(プロフ) - あんこさん» 初めまして!コメントめちゃめちゃ嬉しいです!!あんこさんをときめかせる事が出来たようで何よりです〜!! (2019年3月26日 17時) (レス) id: 667f2e653e (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - 藤子様、初めまして。本当に素敵な作品で、悶絶しながら読ませて頂きました!ロマの台詞にきゅんきゅんさせられてばかりでした。幸せな時間を過ごさせて頂きまして、誠にありがとうございます。不躾ながら完結から随分と経っているのにコメント失礼致しました。 (2019年1月9日 22時) (レス) id: 6e1ddb073f (このIDを非表示/違反報告)
藤子(プロフ) - パン粉さん» わぁ!ありがとうございます!!お気に召していただけたようで何よりです! (2018年11月29日 22時) (レス) id: 771e5159cf (このIDを非表示/違反報告)
パン粉(プロフ) - とても好きです……。 (2018年10月13日 14時) (レス) id: c18102f006 (このIDを非表示/違反報告)
ツナ缶アイス - 藤子さん» はい、福島の人なんです!wwやっぱりヘタリアについて語るのは楽しいですね!8時間くらい語れそうです!ww (2018年8月18日 19時) (レス) id: ec47fd7e2a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藤子 | 作成日時:2018年8月3日 23時