スペインさん家のメイドさん。【APH】

Undici ページ11

「それは…何の招待状ですか？」
ハンガリーさんに尋ねる。

「これは1世紀に1回開かれる舞踏会の招待状！ベルちゃんの所にも来てるかなって思って」
「あー…あれなぁ、来とるけど…。ウチ、上手に踊れへんから憂鬱やぁ…」

国に値する者にも、一世紀に一度は娯楽は必要なのだろう。それにしても楽しそうな響きだ。

「それでね、Aちゃんにも、私から！」
そう言って彼女は先程と同じような招待状を差し出してきた。

「えっ、でもこれ…お国の人達の…。」
「いいじゃない！Aちゃんも長寿なんでしょう？だったら偶には楽しみがないと！」
「Aちゃんが居ってくれたら、ウチも舞踏会行く！せやから来たってやぁ…」

二人に言い寄られ、結局参加する事になってしまった。各国の参加が見込まれていると言われており、もちろん、北欧やイギリスも参加するだろう…。そう思うと憂鬱だ。

しかし、これはいつ開催されるのだろう？準備も色々必要になりそうだ。そう思って招待状を指でなぞっていくと、


「え、あっ、明後日…？」

「えっ！？もうそんなに経ってた！？」
「長く生きとると、年月の感覚のぅなるなぁ」

急いで発たないと…彼らに舞踏会の準備が出来る筈がない。というか、何故、招待状が届いていなかったのだろう…。

「ごめんなさい、準備しなくてはいけないので、もう発ちますね。またお茶に誘ってください！」
急いで荷物をまとめ、出発の準備をする。二人は舞踏会の約束を念押しながら、玄関まで見送ってくれた。

超特急で帰って、彼らの服を仕立てないと。

会いたくない人に会うかもしれないのに、気乗りしない筈なのに、駆けていく脚は軽かった。

Dodici→←Dieci

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す