8.開幕戦(2) ページ8
『くっそ…！』
帽子をロッカーに投げつける。横にいた吉川さんと戸郷さんはビックリしてこちらを向く。
今日の試合は僅差でジャイアンツが勝利を収めたものの、私自身の成績としては4タコ。
挙げ句の果てには守備でエラーをするという散々な結果のデビュー戦を飾った。
紅白戦の時にはあんなに調子が良かったのに…。
そう思えば思うほどに自分の不甲斐なさにまた苛立ち、今度はロッカーを拳で叩きつける。
吉川「…Aちゃん、一回落ち着こう？」
女子とは思えないくらい荒れている私に声をかけてくる吉川さん。
『……すみません。』
吉川「ううん、大丈夫だよ。そういう時もあることはみんな知ってるから。」
『でも、こんな酷い守備とバッティングじゃ…』
吉川「あーあー、ネガティブなこと言わん！」
片手でほっぺを挟まれる。今の顔絶対不細工じゃん…
『よひかはひゃん、やめへくだしゃい』
(吉川さん、やめてください)
吉川「んー…じゃあ、これから物に当たんないでね？」
『ひゃい…』
吉川「よし…あと、困った時は俺とかでもいいから頼りな？」
『頼れるように頑張ります…！』
吉川「ん！偉い！じゃ、翔征に謝ってき？むっちゃ驚いてたし、心配そうに見とるよ？」
ほら、と言われて見てみると心配そうに見つめている我らが新エース、戸郷さん。
先程の吉川さんとの会話や八つ当たりに驚いて、心配してたのだろう。
『あ、あの…先程はすみませんでした。』
戸郷「全然大丈夫！だけど今度は僕が先発の時に打ってね？」
『はい！頑張ります！』
戸郷「ん！じゃあ尚輝さんの奢りで何処か食べに行こっか！」
吉川「え"、俺の奢りなん？」
戸郷「まあ、1番先輩なんで！お願いします！」
『お願いしまーす！！』
吉川「はあ…今回だけだよ？」
戸郷「『よっしゃー！！』」
開幕戦end
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作者名：ﾈｺｶﾞﾈｺﾛﾝﾀﾞｰ | 作成日時：2023年12月11日 10時
