二話 ページ3
学校の帰り道、おばあちゃんの家の近くにある神社に寄った。神主がいるわけでもなく、少し荒れた神社なのでたまにゴミ掃除をしたり雑草を抜きに行ってる。それに、あそこの神社で会える人がいるのだ。
長い階段を上がると朱塗りの鳥居が見えた。やはり、誰も入れていないらしく草が生えたり、ゴミが捨てられたりしていた。
そして、境内の奥の方にある木のそばにあの人は立っていた。殆ど白に近い薄い水色の髪に着物を着た人だ。私が小学生の頃出会ってから、良く話すようになった。不思議なことに私と出会った頃から姿形があまり変わっていない気がするが、この人の年は幾つなんだろうか…と、常疑問に思っている。が、とても良い人なので私は好きだ、もちろん親愛として。
「こんにちは〜！桜切さん、お元気でしたか？」
「こんにちは、私はすこぶる元気だよ。君はどうなのかな、季節の変わり目だから体調は崩していないかい？」
「はい、今のところ体調を崩したりはしてませんよ、元気が取り柄なので」
「ふふ、それは良かった。君が元気ならそれで良いんだ。今日も掃除をしていくのかな、手伝おうか？」
「良いんですか？是非お願いします」
ニコニコと優しい笑みを浮かべながら桜切さんは掃除の手伝いを申し出てくれた。人が多い方が早く片付くので、私も手伝ってくれるようにお願いした。2人で目立つ雑草を抜いたり、落ちているゴミを拾ったりしながら適当な話をする。
桜切さんを見ていると、一つ一つの所作がとても綺麗だからどこか良い家の人なのかといつも思う。身のこなしもそうだが、何より気品や美しさと言う言葉が似合う人だと思う。この辺りに大きな家があった覚えはないけど…まぁどこの人でも良いが。
「…そういえば、そろそろ桜が散ってしまうね」
「そうなんですよ…綺麗なのに残念です」
「そうかい？私は桜は散り際が一際美しいと思うんだけどね、花が散り、夏の初めに蕾をつけて冬をじっと耐え暖かい春にまた花開く。とても美しいものだよね、桜というものは」
「蕾って夏に出来るんですね…初めて知りました。確かに冬を耐えて綺麗な花を咲かせる桜は、とても美しいと思います。だから、私自分の名前が…というよりかは名字が好きです」
「姓？」
「あれ、言って無かったですか？私の苗字、桜坂って言うんですよ」
「…桜坂？…あぁ、もしやあの桜坂かな？」
「…？」
有名ってなんだ…？
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作者名：櫻 | 作成日時：2020年5月6日 16時
