だいすきな笑顔 ページ14
涼太、こっそり笑ってくれた！ 視力が良くて、良かった！
きっと、他の人には、あの微妙な変化はわからない
あたしにはわかる、涼太の柔らかい表情
それを見逃さなかった自分を自画自賛
少しでも視線を逸らしていたら、アウトだった
何かに気付いたように顔を上げ、こちらへ真っ直ぐに視線を向けた
そして、あたしに気づいて、目を細めて、口元を緩めた涼太
「ふふっ...」
つい笑みが零れた
すると、また麻里の勘違いな発言
麻里「ほらぁー！ イケメン見ただけで幸せな気分になるでしょ！」
「そうだね」
涼太の微笑み一つで、あたしはこんなにも幸せ
ゴメンね。麻里...
勘違いしたままの麻里に、心の中でそっと謝る
でも、こんな時こそ『幼馴染』という特等席の有難味と優越感を感じて、あたしは満たされる
渡り廊下を渡り、涼太と玲於の姿は一年生の教室がある後者へと消えて行った
その途端、満たされたはずなのに、襲いかかる不安
それを振り切るように、あたしはグッと口を引き締めて、窓に背を向けた
麻里「今年の体育祭は、あの双子が注目の的になるだろうなぁ」
麻里は、呑気な声でそう言うと、やっと窓から離れて動き出す
肯定も否定もせず、あたしは曖昧な笑顔を麻里に返して、自席に戻った
タイミングよく、校内にチャイムが響く。教室内は、それを合図にせれぞれが着席してゆく
あたしは、気を取り戻して、一限目の教科書を出そうと鞄を覗くと、あの手紙が視界に入った
″ 何で、持ってきちゃったかな...アホだ。あたし... ″
そんな気持ちとは裏腹に、手紙を取り出した
キョロキョロと周りを見回してから、恐る恐る、もう一度、便箋を開く
『あなたのことをずっと見ていました
だから、あなたの好きな人も知っています
これからも、あなたを見ています』
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作者名：みンみン | 作成日時：2018年8月15日 9時
