カフェオレが飲みたいのです (ページ44)

今日:18 hit、昨日:5 hit、合計:97,189 hit

幸せページ44

仕事の帰り道、なんとなく散歩したくなってマネージャーが運転する車から降りた。

ありがと、と短くお礼を言って歩き出した道は
なんだかキラキラ輝いてみえて
小さな少年に戻ったような気持ちになる。

夕暮れ。

オレンジ色の空が優しく包んでくれるような日に、1人で散歩してるのは少し寂しいけど

翔くんはまだ仕事中だと自分に言い聞かせて
狭い路地をゆっくり歩く。

｢本当は2人で歩きたいんだけどな...｣

なんて本音が漏れるけど、これくらいは思ってもいいよね。

自分の前には恋人繋ぎをして歩くカップル。

夕焼けで影が伸びていて凄く絵になる。

羨ましいな、俺もしたいなって思うけど
街中で手なんか繋げないから
心の奥の奥で想うだけ。

｢.....ちょっと寂しくなってきた｣

熱々の青春真っ只中のカップルと、

燃えるように赤い太陽が変に刺激になって逆に心細くなる。

｢だめな男だな...俺は...｣

こんなすぐに会いたくなるなんて。

｢電話....｣は出来ないから、せめてメールだけ。

真っ赤な夕日と、幸せそうなカップルの後ろ姿を写真に収めて送信した。

“ 幸せのおすそ分け ” って柄にもないこと書いて。

すぐ鳴る通知音。

仕事中のはずなのにと届いたメールの中身を見れば、これまた気持ち悪いくらいに溢れる笑み。

“ あなたに会いたくなりました ”

たった一言。たったそれだけの短いメッセージ。

だけどニヤけるほど嬉しくて、

｢そんなの...俺の方が思ってるよ....｣と

見えない相手に向かってそう答えた。