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狩野さん、ごめんなさい。

僕なんかの事を好きになってくれたのに、ごめんなさい。

申し訳なさでいっぱいになりながら、スマホを開く。

「今から帰ります」と送ろうとした時


ふと、嫌な予感がした。


何か明確な理由があった訳でもない、ただの僕の勘。

当たっているかどうかすら、定かではない。

……だけど、気付けば、……僕の足は駆け出していた。

どうか当たらないでくれ。と、願いながら。





松村「ただいま、っ、……」


おかえりは、聞こえなかった。

それどころか、部屋にはさっきまであった温もりがない。

お願い、どうか的中しないでくれ。

そんな事を願いながら靴を雑に脱ぎ、リビングに向かう。

そこには


松村「……っ、」


部屋の中から、咲良さんの荷物がなくなっていた。


部屋の隅にあった、大きなスーツケースと大きなカバン。

咲良さんの存在が最初から無かった事にされたかのように

この三ヶ月間、幻と言われてもおかしくないほど

何もかも、忽然と消えていた。

テーブルの上にあるのは、野良猫の絵と

意味深な分厚い封筒だけ。

分厚い封筒を逆さまにしてみると


松村「……。」


大量の一万円札が散らばり

シンプルな白い紙が、音を立てて床に落ちた。

読みたくない。……読みたくないけど、読まなくちゃ。

……震える手を抑えながら、僕は手紙を開いた。

……そこにあったのは、咲良さんの字なのかも分からない

お世辞にも綺麗とは言い難い、読みにくい文字の羅列。






千晃くんへ



突然の事でびっくりした?

三ヶ月分の生活費は封筒に入ってます。

大雑把に計算したから、足りなかったらごめんね。


誰かに手紙を書く機会なんて二度と来ないだろうから

記念に手書きで書いてみてるけど、早くも後悔してます。

読みにくいかもしれないけど、気にしないでね。

(万年筆借りました。書き心地◎です。)


一緒に桜を見るって約束、破っちゃってごめんなさい。


あの大雨の日、君に会えてよかった。

三ヶ月間、夢のような日々でした。

あんなに楽しい日々は、生まれて初めてでした。

だけど、いつかこの幸せが消えるんじゃないかと思うと

辛くて、悲しくて、傍にいるのが怖くなりました。

最後までわがままでごめんね。


どうか、私の事は忘れて、どうか、素敵な人生を。


素敵な思い出をありがとう。

じゃあね。


モノクローム・ラバー より


追伸
このハンドルネーム良くない?私のお気に入り。


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花火2016(プロフ) - のさん» コメントありがとうございます!まいやんとのお話考え中ですのでしばしお待ちください!✨ (3月10日 16時) (レス) id: d050ed87d3 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 白石麻衣ちゃん推しとしても今回出番あったのとっても嬉しいです。2人が仲良くなっていくところとかまた見れたらいいな。 (3月9日 21時) (レス) @page8 id: 84741cfeca (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花火2016 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2024年3月9日 9時

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