第九話 祝杯と手紙 ページ32
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第九話 祝杯と手紙
咲良さんがここに来て、三ヶ月。
季節は、まだ肌寒い三月を迎えていた。
桜の蕾が、つき始める頃。
そんな頃、僕達は。
松村「もうすぐですね、桜。」
『だね。……楽しみだなぁ、桜咲くの。』
松村「そういえば……咲良さんの名前って、さくらとも読めますね。」
『うん。すっごい間違えられる。元AKBの宮脇咲良ちゃんもその漢字で「さくら」って読むし。』
松村「たしかに書面で見たら間違えるかもですね。」
『間違えられる度になんでこんなややこしい名前つけたんだーって思ってたけど……悔しい事にまぁまぁ気に入ってる。』
松村「いい名前だと思います。」
『千晃くんの名前の由来は?』
松村「あぁ……単純に名前の響きが良かったっていうのもあったらしいんですけど、僕の名前を縦書きにすると、……「千」「日」「光」って分けられるんです。」
『あっ、ほんとだ。』
松村「未来まで光照らす子に育ってほしいって意味らしいです。……ちょっと丁寧すぎて恥ずかしいですけど。」
『そんな事ないよ、素敵な理由じゃん。』
二人とも進級できる事が決まり、かなり呑気だった。
咲良さんは、あと数ヶ月で就活が始まる。
……とは思えないくらい、いつも通り落ち着いていた。
そんな時、僕のパソコンが通知を受信した。
松村「……えっ、」
『ん?なに?』
松村「……「死して尚、待つ。」……前に送ったのとは別の新人賞、応募してみたんです。……そしたら、」
『……っ、「新人賞 第一次選考突破者 檜山千晃」。』
松村「……新人賞、一次選考……突破しました。」
『っ、おめでとーっ!!』
松村「っ、咲良さんっ、くるしい……っ、」
『ねぇ、ケーキ!!ケーキ買おう!!……あっ、お、お赤飯!!お赤飯炊かなきゃ、お赤飯!!」
松村「咲良さん、まだ一次選考ですから。……あとお赤飯炊くようなお祝いとは、ちょっと違います。」
『何言ってんの、凄い事じゃん!!初めてなんでしょ!?だから言ったじゃん!!千晃くん諦めちゃ駄目だよって!!お祝いしなきゃだよっ、これはお祝いしなきゃだよーっ!!』
松村「……っ、ありがとうございます、」
『わーっ、嬉しいーっ……。』
他人の事を、自分の事のように喜んでくれるのが嬉しくて
気を緩んだら泣きそうになってしまう。
やっぱり、僕は、……咲良さんの事が、
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兵頭「え、まだ告ってねぇの?」
松村「……はい。」
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花火2016(プロフ) - のさん» コメントありがとうございます!まいやんとのお話考え中ですのでしばしお待ちください!✨ (3月10日 16時) (レス) id: d050ed87d3 (このIDを非表示/違反報告)
の(プロフ) - 白石麻衣ちゃん推しとしても今回出番あったのとっても嬉しいです。2人が仲良くなっていくところとかまた見れたらいいな。 (3月9日 21時) (レス) @page8 id: 84741cfeca (このIDを非表示/違反報告)
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