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『んーーっ、おいしい……。』
田中「良かった。」
『寒い中で食べるカレーもいいね。』
田中「ね。」
甘いマシュマロを食べてたとは思えないくらい、Aちゃんは美味しそうにカレーを食べる。
CMか?と思っちゃうくらい見事な食べっぷりに、思わぶ顔が綻んでいくのを感じる。
ちょっとだけ口の端に付いてるのが可愛くて教えたくなかったけど、誰かに見られるのが嫌だった。
Aちゃんの口の端を拭うと、きょとんとした顔の後、「なんか付いてた?」と聞いてくる。
カレー付いてたと教えると、恥ずかしそうに「言ってよ」と笑ってるAちゃんが愛おしい。
本当にこの子、俺らと同じ人間なのか?
『ありがとね、連れてきてくれて。』
田中「こんな誕生日で良かったの?マジで今年はプレゼントとか用意できなかったんだけど。」
『二人で出掛けられるのが楽しいんじゃん。』
田中「……そ?」
『……幸せだな。』
田中「……幸せ?」
『二人で過ごせてるの幸せだな。って思って。』
田中「……っ、」
『……これからも一緒がいいね。』
寒いはずなのに、なんだか心が熱い。
倦怠期なのかもしれない。とため息をついて悩んでいたAちゃんが、そんな事を言ってくれて。
あぁ、この子まだ俺の事大切に思ってくれてるんだろうな。と、心が満たされていくのを感じる。
正直、何かを考えているわけでもなかったけど、気付けばAちゃんを見つめていたらしく。
「何?え、またカレー付いてる?」と口元をお上品に拭うAちゃんが、本当に素敵で。
こんな素敵な子が俺の隣にいてくれて、これからも一緒がいいって思ってくれていて。
……なんか、……なんていうか。
気付けば、口が勝手に開いていた。
田中「Aちゃん、」
『ん?』
田中「俺ら結婚しない?」
口からその言葉がこぼれ出した瞬間、真っ白な世界の時間が数秒だけ、止まったような気がした。
仕事があるから。
大事な時期だから。
アイドルだから。
女優だから。
芸能人だから。
頭ではいろんな事を考えていたのに、その場の感情だけで、ずっと想っていた言葉が溢れ出した。
もちろん指輪もないし、まさか自分が勢いだけでこんな事を言うなんて思わず、頭がショートする。
魔法なんてかけられてないって思ったけれど、これはたしかにゲレンデマジック……なのかもしれない。
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花火2016(プロフ) - ぴさん» ありがとうございます!波多野ちゃんも喜んでおります!笑 皆さんのおかげで素敵な一年になりそうです笑 (2月9日 23時) (レス) id: d050ed87d3 (このIDを非表示/違反報告)
ぴ(プロフ) - 更新ありがとうございます!そしてはたのちゃんお誕生日おめでとう!25歳!はたのちゃん、花火2016さまも素敵な一年になりますように (2月9日 15時) (レス) id: 6f5cf267a1 (このIDを非表示/違反報告)
花火2016(プロフ) - ぬょさん» コメントありがとうございます!もうここまで来たら一旦倦怠期迎えたこと書いちゃえ!!って思って書きました笑笑 はたちゃんの「は」は私の「は」です!!(違う) (2月2日 15時) (レス) @page17 id: d050ed87d3 (このIDを非表示/違反報告)
ぬょ(プロフ) - 花火さんの報告(?)の次のお話がじゅりはたの倦怠期なのあまりにも素直すぎて花火さんが愛おしいです笑はたちゃんの「は」は花火さんの「は」だったんですね(?) (2月2日 15時) (レス) @page18 id: 81b3a9c5f9 (このIDを非表示/違反報告)
エム(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいています。私は他の方との恋愛模様も見たいなぁと思っています。花火さんが楽しく創作活動できる方を選んでください! (2月2日 2時) (レス) @page16 id: f8c2db3e69 (このIDを非表示/違反報告)
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