怪演女優 Fifty Six

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山田「お、いーじゃん、上手いじゃん。」

『才能あり？』

山田「ありあり。」

『やったぁ、』

山田「……あの後どうなの。例の彼と。」

『まぁ普通だよ。』

山田「付き合ってねえの？」

『ないない、告られてないもん。』

山田「なんかあったらすぐ出てこいよ。」

『なんかお兄ちゃんみたいな事言うんだね？』

山田「そうか？」

『過去に身体の関係だっただけなのにねぇ。』

山田「……まさか、お前それ例の彼に言ったの？」

『言ってないよ、ただの過去だもん。』

山田「明らかに彼、惚れてたもんなぁ、」

『……え、うそぉ、』

山田「多分な？見た事ない生き物見たような目してた。」

『……それ多分一目惚れの顔じゃなくない？』

山田「あっ、いらっしゃい、」

『いらっしゃいませーっ、』


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松村「……っ、んん、……」

『……。』


目が覚めると、咲良さんは絵を描いていた。

月明かりに照らされて、なんだか天使みたいで

一瞬、まだ夢の中にいるのかと勘違いした。


『……あっ、起きた？おはよう、……ただいま？』

松村「っ、すみません、お出迎えできなくて……。」

『いいよいいよ、寝てな？』

松村「……なに描いてるんですか？」

『んー、なんか寝れないから自画像描いてみてる。もうちょっとで完成するとこ。……じゃーん。』

松村「……っ、？」

『想像と違った？』

松村「……僕、絵の才能無いんで分からないんですけど、咲良さんは自分をこう見てるって事なんですか？」

『まぁー、なんとなく、そんな感じかな。』

松村「……咲良さんの頭の中、凄いですね。」

『ふふ、これさ、カラフルにしたらピカソっぽくない？』

松村「……たしかに、」

『ま、色つけるとしても無彩色なんですけどねー。』

松村「……カラフルな色、使わないんですか？」

『……もしさ、色使って絵描いたら見に来てくれる？』

松村「っ、はい。絶対行きます。」

『……ふふ、じゃあ、頑張ってみよっかな。……いつになるか分かんないからあんま期待しないでね。』

松村「……楽しみです。」

『なんか会った時に比べて表情が明るくなったね。』

松村「えっ、」

『いい顔だね、素敵。』

松村「……咲良さんに会えたから、です、」

『……っ、へへ、そっか。』

松村「……っ、はい、」

『んんー、っ、……そろそろ寝よっかなぁ、』

松村「……。」

『っ、よいしょ、っ、』

松村「っ、あの、」

『ん？』


松村「……ベッド、使います、？」

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