怪演女優 Fifty Six

第三話 添い寝とアルバイト ページ37

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松村「えっ、バイト決まったんですか、」

『うん。』

松村「……ちなみに、どんなバイトですか？」

『私達が初めて会ったクラブのバー。ダメ元で相談したら雇ってくれるって。』

松村「おめでとうございます。」

『えへへ、ありがとー。……でもまだしばらくはお世話になっちゃうかなぁ……。ごめんね、二週間も長居しちゃって。』

松村「……気が済むまで、いてください、」

『優しいねぇ、千晃くん……。でも私いたら女の子とか連れ込めないから大変でしょ。』

松村「まずそんな事がないので安心してください、」

『……すっごい失礼な事聞いてもいい？』

松村「えっ、はい、」

『……千晃くんって童貞？』

松村「ぶふっ、」

『えぇっ、ごめんごめん、大丈夫？』

松村「っ、いえっ、げほっ、……すみません、っ、」

『ふふ、……あっ、そろそろバイト行かなきゃ、』

松村「がんばってください、」

『ありがとーっ、ばいばーい。』

松村「行ってらっしゃい、……。」


無論、童貞である。

そりゃそうだ、あなたが初恋なんだから。

とも言えなかった、童貞こじらせ男です。


彼女には言えなかったけれど

実は先日、こんな事があった。


兵頭「ほんとすいませんでした！！」
前田「ほんとすいませんでした！！」

松村「……えっ、」


例の陽キャ軍団が、これまでの事を謝ってきた。


兵頭「いや……マジで俺ら調子乗ってたなって、咲良ちゃんに気付かされたっつーか……。」

前田「もちろん、許してもらえるとは思ってねえし、嫌なら大丈夫なんだけど……これから仲良くして貰えると嬉しい。」

松村「……別に、僕は全然、」

兵頭「まじ……！？ほんっとごめんな……。」

前田「……早速なんだけどさ、今日カラオケ行かない、？」

松村「っ、今日はちょっと、バイトがあるので、」

兵頭「だよ、ね、！！ごめん！！じゃあまた誘う！！」

松村「……ありがとうございます。」


干渉する他人が嫌いだったはずなのに、

何故か、前ほどの嫌悪感はなくなっていた。

……彼女が家に来たのが理由だと思うけど。


『……っ、電話、』


《おばさん》


『……。』

深澤辰哉「おねーさん。」

『ん？……私？』

「うん。めっちゃ綺麗だなって思って声掛けちゃった。」

『……、私の事誘いたいならさ、このバー来てくんない？今日から働くからさ、売上伸ばしてあげたいの。』

深澤「えっ、」

『またねー。』

深澤「……あぁ、あそこか。」

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