怪演女優 Fifty Six

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『あくまで個人戦だからね。1対1対1の三つ巴。』

兵頭「……すみません！！ショットください！！」

松村「……、そこまで、しなくても、」

『いーから、見てて？あ、あとなんか頼むー？』

仁村「……じゃー、レモンティーもらおっかなぁ、」

古川「あ、私もレモンティーもらう〜。檜山くんは？」

松村「……、僕は、大丈夫です。」


こうして、三つ巴の飲み比べが始まった。


『かんぱーい、……っ、……あー、久々に飲んだ、』

前田「っ、うわ、つっよ、」

兵頭「……っ、はぁ、……っ、」

『んふ、一杯目はまだ余裕、二杯目いくよーっ、』

前田「……っ、んんっ、……」

『っ、……うん、ふふふ、まだいけるねぇ、』

兵頭「……っ、」

仁村「あれ？」

『……祐希くーん、』

兵頭「っ、……」

『……見たらぐい、♡』

兵頭「くっそ、ふぅ、……」

仁村「がんばれーっ、」

古川「あははっ、容赦ねぇーっ、」

松村「……。」

『はい、三杯目っ、……んん、くるねぇ、』

前田「……っ、ふーっ、……」

『お、まだいく？』

前田「……っ、はぁっ、」

兵頭「……。」

仁村「祐希くん飲んでなくなーい？」

「「WOWWOW〜！！」」

兵頭「っ、俺、ぎぶ、っ、……」

前田「おい、っ、」

古川「死んだ？」

仁村「いや、寝てるだけっぽいわ、」

『じゃあここタイマンね。四杯目〜っ、！！』

前田「……っ、」

『あれ？龍己くん、ちょーっと残ってるぞ〜？』

前田「っ、……はぁ、」

『五杯目突入〜っ！！……っ、あぁ、』

前田「……。」

松村「……っ、あの、無理しなくても、」

前田「うるっせぇ……。俺はお前なんかより上なんだよ、っ、」

『そういうの飲んでから言いなよ。』

前田「っ、」

松村「……っ、」

『ねぇまだー？』

仁村「あははっ、やばぁーっ、」

前田「……っ、」

古川「おぉー、すごーい、飲んだぁ、」

『いいねぇー、私まだまだいけるよ？ギブする？』

前田「……まだ、っ、」

『はいかんぱーい、っ……はぁーっ、』

前田「……っ、」

『……潰れる前に言っとくけどさ、誰でもいいわけじゃないんだよね。ちゃんとタイプとかあるの。』

前田「……、」

『人を見下さない、陰キャ陽キャで人を分けない、人の名前ちゃんと覚える、私を甘やかしてくれる、それと……』

前田「…………」


『……酒で女に負ける自称陽キャは論外。』


彼らに向けられた彼女の目は

この時だけは、悪魔のようだった。

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