怪演女優 Fifty Six

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仁村「え、それな。絶対こっからわざと空気悪くするよ。」

『……あの二人、いつもあんな感じなの？』

松村「……、あんな感じ、って言うのは、」

『なんか……人を小馬鹿にした感じ、』

松村「……まぁ、ないと言えば嘘になるというか、」

仁村「クソだね。」

『だいじょーぶ。もし苺花の言う通り、空気悪くしたら私が懲らしめるから。』

松村「いいんです、……慣れてるんで。……僕が暗いのが悪いんです。……陰キャなのが悪いんです。」

古川「えぇー、檜山くんちょー悲観的じゃーん、」

『……千晃くんがそれでいいならいいけどさ。』

松村「……。」


兵頭「ただいまー！！」

前田「なんの話してたの？」

『んー？内緒ー。』

前田「えー、ずるい。俺らにも教えてよ。」

『えへへ、だめーっ、』

兵頭「てかさぁ、咲良ちゃん、単刀直入に聞いていい？」

『んー？』


兵頭「咲良ちゃんって……彼のどこがいい訳？」


松村「……っ、」

『えー、どういう意味？』

兵頭「いや、なんていうか……彼って陰キャじゃん？」

松村「……。」

兵頭「悪い意味じゃないんだけどさ、彼ってすっごい暗めだし、あんま喋らないっしょ？コミュ力たっかい咲良ちゃんとあんまり合ってないなーって。」

『あー……。』

仁村「……。」

古川「……。」

兵頭「……あ、俺、なんかまずい事言った？ごめんごめん！！別にいじめたくてこういう事言ってるわけじゃないからさ！！」

松村「……、いえ、」

前田「でも、咲良ちゃんって俺らみたいな方が、」

『二人のご想像のとおり、千晃くんは私と二人きりの時も比較的……無口な方だよ。お互い何も喋らない時間とかも全然あるし、同じ部屋にいて別行動してる時とかもあるよ。』

松村「……っ、」

前田「へぇ、」

『二人は自分の事を、千晃くんみたいなタイプとは真逆の、所謂……陽キャ？って思ってるわけでしょ？つまり、陽キャの自分達の方が私の事楽しませられるって言いたいのね？』

兵頭「いや、そこまで……ねぇ、言いたいわけじゃ、」


『だったら私の事、楽しませてみてよ。』


松村「っ、」

前田「えっ？」

『陽キャって言い張ってるって事はさ、当然ショット飲み慣れてるよね？私とどっちが飲めるか対決しようよ。私に勝ったら、私にふさわしいって事、認めてあげる。』

古川「っ、咲良、マジで？」

『どうする？……やめとく？』

兵頭「……っ、やる。……やるよ。」

仁村「ねぇ、辞めとこうよ、」

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