怪演女優 Fifty Three

人人人 ページ25

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SixTONESのライブが始まってから、もう一時間ほどが経過しただろうか。

生の音楽を聴いて、パフォーマンスを見て、「やっぱりSixTONESの音楽好きだな」と思いながら、隣を見ると、きらっきらの眼差しで彼らを見ていた。

まぁそうなるよね。恭平くん、樹くんの舎弟みたいになってるもんね。


高橋「やっぱSixTONESすげぇなぁ……。」

『すごいね。』

高橋「次なんでしょうね……。」

『あぁ、なんだろう……。』


「オンガク ―声ver―」が終わり、そんな疑問を口にしていると、すぐさま次の曲のドラムロールが鳴った。

……あ、これ、好きなやつ。


高橋「これAさん好きなやつじゃないすか、？」

『うん、最近一番好きなの、』


人人人。

奇っ怪で、なんて読めばいいのか分からないタイトルに最初は戸惑ったけど、蓋を開けてみれば、その中は宝箱のようにキラキラしていて。

夜景を見ながら涙を流したアメリカでの夜や、心身ともに疲れていた車内で、イヤホンでこの曲を聴くだけで、なんだか支えてもらってる気分になれて。

そしてまた、涙が流れる……と、いう、アメリカ生活の思い出の一曲。

だけど、あんなにグルーヴ感溢れる曲は今まで聞いた事なかったし、歌詞も本当に素晴らしくて、あの曲がYouTubeで公開された日は度肝を抜かれた。

そうそう、この樹くんのラップからはいる感じも最高。


高橋「俺この曲、音源よりもライブの方が好きなんすよね。」

『分かるよ。……アルバムの方より、YouTubeの方ばっかり聴いちゃう。』

高橋「分かります！……いやぁ、マジでかっけぇ……。」


ライブ中、樹くんは昨日「行かない」と言っていた私が来たのか気になったのかチラッと見てきたけれど、まだ彼らが関係者席の方を見る事はなくて。

自意識過剰にも程があると思われそうだけど、やっぱり嫌われてるんじゃないかな。……なんて、大好きな曲が流れてる間も、思ったりしてしまう。

まぁ、でも、嫌われても仕方がないんだから。

……やっぱり帰りに楽屋に寄るのは辞めておこう。今後ライブに行くのも辞めておいた方がいいかな。と、心のどこかで決断して、六人から目を逸らした。

曲はもうすぐ盛り上がりの部分を見せる……という時。


高橋「……Aさん、……Aさん。」

『ん、？』



高橋「……六人とも、Aさんの方……見てません、？」

『えっ……？』



ステージに立つ六人のパーティーは、何故か私を見ていた。

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