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『来て、?』
そう言うAちゃんが俺を連れてきたのは、Aちゃんのお部屋。
お互いに「二人の寝室と、お互いの趣味の為の一人部屋が欲しいよね。」と言って借りた3LDKの我が家……の中の、Aちゃん専用のお部屋。
ドアを開けると同時に、ふわっと女の子らしい香りが広がって、「あー、やばい、理想の女の子すぎる」という馬鹿丸出しの言葉が頭をよぎる。
そのままAちゃんの部屋に入って、辺りを見渡す。
10代の頃から大事にしているライトアップピアノや、今までの台本が並んだ大きな本棚と、今まで受賞したトロフィーが飾られてるショーケース。
ここだけで「波多野A」という人間を語るのは難しいかもしれないけれど、どんな人物かを説明するには、もってこいの部屋。
『……ん?』
田中「えっ?……あ、いや、なんでも、」
『そう?』
田中「てか……どうしたの?」
『……見てほしい物があって。』
そう言ってAちゃんが出したのは、たくさんの台本。
どれもこれもまだ放送されていない仮の台本だったけれど、こんなにAちゃんに仕事のオファーが来ているのか、と、驚いてしまった。
もしかしたら、休止中に届いた台本か……?
……、だとしたら、
田中「っ、大丈夫、?」
『え?……あぁ、あの、台本が届く事はたまにあるから。「是非うちの作品に」って言ってくださる人が多いと、……やっぱりちょっと嬉しくて。』
田中「……そっか。」
『でも……。もうこれで終わりにしようかと思って。』
田中「……終わり?」
『……自分がやりたいと思った仕事をしっかり引き受けて、自分で「今だな」って納得できたら、女優を辞めようかなって思ってる。』
その一世一代の報告をしてくれたAちゃんの目は、水晶玉みたいに透き通っているように見えて、気を抜いたら惚れ惚れしてしまうほど。
だけど、どうして?……なぜ突然、そんな、あっさりと結論が出たのだろう。
『このお休みの期間、働いていた時の穴埋めをするように、ひたすらベッドにいたでしょう?その時に今後の事もいろいろ考えてたんだけど、何度考えても、最終的にはこの結論に辿り着いたんだよね。』
田中「……っ、そ、……っか、」
『あー、スッキリした。……辞めるって誰かに伝えると、スッキリするね。……すー、……っ、はぁ、……さっきより、空気がおいしい気がする……っ、』
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花火2016(プロフ) - ぴさん» コメントありがとうございます!ジャニヲタからするとほんと複雑ですよねぇ…。私と同じジャニヲタさんのモヤモヤを解消する為に書いたので、喜んでいただけて嬉しいです☺️ (9月27日 16時) (レス) @page49 id: 5bc3e1fe69 (このIDを非表示/違反報告)
ぴ(プロフ) - 更新ありがとうございます!昨今色々騒がれてて推してる身としては色々疲弊してたのですが今回のお話を読んでちょっと救われました🥲🥲これからも更新楽しみにしております! (9月27日 8時) (レス) id: 6f5cf267a1 (このIDを非表示/違反報告)
花火2016(プロフ) - ぴさん» 読んでくださりありがとうございます!!あれ見ながら「でも夢主ちゃんならいいんだろうな〜」と思ってたのでそれを形にできてこちらも満足です!これからもお願いします! (8月27日 13時) (レス) @page45 id: 5bc3e1fe69 (このIDを非表示/違反報告)
ぴ(プロフ) - 更新ありがとうございます!トークィーンズが放送されてからそのお話が読みたかったのでほんと嬉しいです( ; ; )これからも無理なくよろしくお願いします! (8月27日 1時) (レス) id: 6f5cf267a1 (このIDを非表示/違反報告)
花火2016(プロフ) - ぴさん» こちらこそ読んでくださりありがとうございます!めっっちゃ良かったですねぇ…。井手くん、未だに録画見返すくらいには大好きなキャラです…。抱き締めたい…。愛でたい…。 (7月24日 22時) (レス) id: 5bc3e1fe69 (このIDを非表示/違反報告)
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