怪演女優 Fifty Two

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2020年 10月



眞栄田「朝比奈さん、」

『……あれ、来てくれたの？』

眞栄田「凄いっすね……。個展、大盛況じゃないすか。」

『ありがと。……まさかこんなに人来るとは思ってなかったけど……。報道カメラマンからフォトグラファーなんて肩書き、中々ないから気になるんでしょ。』

眞栄田「たしかに気になるっすね……。」

『そっちはどうなのよ、「村井映像企画」だっけ？』

眞栄田「まぁ……相変わらずっすよ、村井さんはパワハラ上司だし。……根はいい人なんで、なんか憎めないのが悔しいんすけど。」

『へえ。でも楽しそうでなによりだよ。』

眞栄田「はい、……すっげぇ楽しいっす。」

『会ってみたいな、村井さん。』

眞栄田「やめた方がいいっすよ、腹立つだけなんで。」

『ははっ、マジで？余計会ってみたくなったわ。』

眞栄田「……あの、雛乃さん、」

『ん？』

眞栄田「……前に言えなかった事、言っていいすか？」

『なに、』


眞栄田「……僕、ずっと前から、雛乃さんの事が、」


『無理。』

眞栄田「えっ？」

『個展のパンフレットの、プロフィール欄見てくんないかな。』


《自身が報道カメラマンを志した理由となった、大学生時代の女性の恋人と交際中。LGBTを題材にした写真も撮影している。》


『……悪いんだけど、もう相手いるから。……それとあんたタイプじゃない。』

眞栄田「あー……っ、そうなんすね、」

『……あ、噂をすれば。』


福本「コーヒー買ってきたよ。」


『ありがと。……あ、こいつが岸本。よく話に出てたでしょ。』

福本「あぁ、はじめまして。奈緒です。」

眞栄田「……っ、どうも、……岸本です。」

福本「すっごく感じの良い方だね。」

『そう？……こう見えて頼りないよ。』

福本「ふふっ、嘘だぁ、そんな事ないですよね？」

眞栄田「は、はは……」

福本「あっ、今コーヒー淹れますね？ちょっと待っててください。」

眞栄田「あっ……ありがとうございます。」

『……いい子でしょ、……私には勿体ないくらい。』

眞栄田「……勿体ないとは思わないっすけど……確かにいい方ですね。……俺なんか相手にならないくらい素敵な方で安心したっす。」

『お前何様だよ。』

福本「お待たせしました〜……。」

眞栄田「あっ、ありがとうございます……。」

『ありがと。』

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