怪演女優 Fifty Two

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田中「うわああっ……、仲良さそう……。」

『別に連絡とってる訳じゃないけど仲悪くないよ。むしろ良い方。』

田中「やめてえ……本人から追加で情報もらうのきつい……。」


物凄く距離が近い訳でも無く、かといって遠い訳じゃない、あくまでもただ記念に撮った写真でも、樹くんは見事に崩れ落ちてしまっていた。

私の気持ち思い知ったか、と、聞くまでもなく、私が焦った時以上のダメージを受けている樹くんになんだか少し可哀想な気持ちも抱いた。


『これ以上晒されたら、次からは元カレにわざわざ連絡して「私とのツーショットあったらちょうだい」って言わなきゃいけないからね。』

田中「ああ……やだあ……。できるだけ束縛はしたくないけどやだあ……。」

『もう晒されないでねって言っても無理かもしれないけど、もしまた過去の恋愛が晒された時は、私のメンタルケアをお願いします。』

田中「もちろんです……。」

『あーあ、私が一般人だったら直接連絡取って画像全部消せって言ってやるんだけどなぁ。それしたら私まで晒されて大変な事になるからなぁ。』

田中「ほんと、過去の自分の女を見る目がなくてすみません……。」

『ほんとだよ、全くもう……っ、』


怒っていない、とは言ったけれど、傷付いていないとは言っておらず、かなり焦ったし、泣きそうになりはしたけれど、必死に我慢した。

樹くんも晒された被害者ではあるのに、こんなに誠心誠意謝ってくれて、過去の恋愛について反省してくれてるのを見ると、少し安心してしまう。

こんな私でごめんね、と思いつつ、それを口にしたら逆に謝られてしまうような気がするので、とりあえず今は言わないようにした。


『……てか、過去の彼女の事「承認欲求高い」とかボロクソに言っちゃったけどさ、樹くん怒んないんだね。』

田中「……こんなこと言ったらファン減るかも知んないけど、俺、元カノはただの過去だって思ってっから、なに言われても別に平気なんだよね。」

『ふーん。』

田中「それに、俺にはもうAちゃんしかいねえし。」

『……ふふ、あっそー。』

田中「……え、何、なんかちょっと嬉しそうじゃん。」

『いや、別に、そんなんじゃないし。』

田中「えぇ、なになに、可愛いんだけど、テンション上がっちゃったの？えへへへ、かぁいいねぇ、」

『……。』

田中「すみません、調子乗りました。ほんと、すみませんでした。」

『はい。』

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