怪演女優 Fifty One

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九月三日。

岸本家御用達ブランド 2019年秋冬コレクションの試着中に

岸本拓郎は、その連絡を受けた。



眞栄田「……はい、岸本です。お疲れ様です。」

岡部「岸本……、いま大丈夫か。」

眞栄田「……はい、大丈夫です。」

………………

眞栄田「……えっ、」



大門享が、死んだ。



九月三日の未明。

芝川港近くの路上に止まっていた車から、遺体となって発見された。

遺書があった事から、警察は自決と断定。

その知らせを受けた岸本拓郎は、助けを求めて、電話をかけた。


眞栄田「……あ、あっ、もしもし、岸本です。話したい事があって、その、」

「……雛乃の、ご友人の方ですか、？」

眞栄田「……、どちら様でしょうか。」

「……綾瀬雛乃の、母です。」

眞栄田「……あの、すみません。……娘さんに代わっていただけますか。」

「……っ、娘は、今……」

…………

眞栄田「…………っ、」

「っ、ちょっと、拓ちゃん、！？」



朝比奈綾 改め、綾瀬雛乃が

芝川港近くの住宅街にあるゴミ捨て場で、昏睡状態で発見された。



身体中に暴行の痕跡があり、右目は一時的に失明している事から

警察は、事件性があると見て捜査進めていく方針、らしい。



眞栄田「……っ、あ、あの、っ、」

「……、岸本さん、？」

眞栄田「……っ、雛乃さん、は、」

「……今、ICUで治療を受けてます。」

眞栄田「……、雛乃、さん、」


『………………』


眞栄田「……っ、」

「……娘の家に、たくさんの資料と、現像された写真がありました。……八頭尾山殺人事件、本城建託、本城彰、……大門雄二。……大門雄二の娘婿も、娘の近くで亡くなったそうですね。……偶然にしては出来すぎている。」

眞栄田「……、はい、」

「……娘は、右目の視力を奪われるような仕打ちをされるような事をしていたのですか。」

眞栄田「……いえ。」

「……資料に、君の名前が書いてあった付箋が付いていたよ。……八頭尾山殺人事件の資料の所に貼ってありました。……一体どういう事なんです。」

眞栄田「……っ、僕、が、……雛乃さんに、……事件の捜査を協力したんです、」

「…………。」

眞栄田「どんどん、調べていくうちに……大門副総理の周辺に、たどり着いて……っ、その頃にはもう、後戻りできなくなっ、て、てっ、」

「っ、お父さん、っ、」

「……っ、ふざけるな！！」

眞栄田「ごめんなさい……っ、本当にごめんなさい……っ、」


『……………』

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