怪演女優 Fifty One

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長澤「……っ、」

『「フライデー☆ボンボン」で、西澤正の虚偽の証言について報道された後、岸本は経理部に移動になって、あなたは「ニュース8」に返り咲いた。当時のプロデューサーは子会社に飛ばされたんでしたっけ？』

長澤「……飛ばされた、っていうか、」

『飛ばされたんでしょ。……だけどね、尻拭いで飛ばされたプロデューサーさん？……貴女よりよっぽど熱意があってかっこいいと思いますよ。』

長澤「…………。」

『……たしかに、この結果を報道するのにはリスクがあるのも承知です、そんな事は私にでも分かる。……ただ、あなたと岸本が信じ続けていた松本の無罪が、やっと証明できるんですよ。……信じ続けていた事が報われた今、その結果を「リスクが高い」「責任が重い」と放棄するんですか。……馬鹿なの？』

三浦「いやだから、我々は後追いならできるって」

『うるせえな、会社の犬が軽々しく口挟んでんじゃねえよ。』

三浦「はぁ！？」

『「フライデー☆ボンボン」にいた時のあんたは、今より局内でも世間でも立場は低かった。でも私は、あの時、必死にもがいてたあんたの方が好きだったよ。……真実を究明したいって熱意が、テレビ越しでも伝わったから。

……あん時の熱意どこに消えたの、平成と共に置いてきたわけ？「フライデー☆ボンボン」の打ち切りと一緒に打ち切っちゃったわけ？……その状態で「ニュース8」のメインキャスター飾ってんの？笑わせないでよ。』

長澤「……っ、」

『……「製作者の墓場」と揶揄されていた番組にいた時の方が輝いてて、大洋テレビの看板番組に返り咲いた今の方が落ちぶれて見えるなんて、滑稽だよね。滑稽すぎて逆に笑えないレベル。』

眞栄田「っ、朝比奈さん、」

『「好きな女子アナランキング」三位だったっけ？……じゃあ聞くけど、日本がひっくり返るような大きな情報を手に入れたのに、リスクを恐れてそれを手放すような浅川恵那を、世間は望んでるの？』

長澤「…………。」

『もう良い、そのままでいれば？良いよ良いよ、変わんなくていい。……そのまま真実から目を逸らして生き続けて、いつか世間に見放されればいい。……路チュー撮られた時と全然変わってねえな、相変わらず落ちぶれてんだなって思われればいい。……岸本、行くよ。』

眞栄田「ちょっ、朝比奈さん！！」

三浦「っ、おい！！」

長澤「いいです、追いかけなくて。」

三浦「浅川……。」

長澤「……。」

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