鎌倉殿の13人 第47回「ある朝敵、ある演説」 ページ22
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小池「……こちらを。」
坂口「……これ、は、」
小池「八重さんから預かったものです。」
坂口「……母上から、?」
小池「と言っても……八重さんも、ある方から、こちらを預かったそうです。……いざと言う時に、あなたに渡してほしいと。」
坂口「……、八千代、?」
小池「……源九郎判官義経の、右腕として活躍した、女将軍です。……あなたが小さい頃に亡くなってしまったのだけど……。死ぬ前に遺していたみたい。」
坂口「……っ、」
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山本「……何してる、お前も挨拶しないか。」
『え、』
山本「いいから。……ほら。」
『……、八千代にございます。』
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坂口「……あの時の、」
小池「まさかあの八千代が、あなたに文を残すなんてね。」
坂口「…………。」
この文が何年越しに開かれているのかは分からないが
そなたが封を開けてくれた事、感謝している。
まず、この文は、そなたの父に宛てた文とは、また別の事が書いてある。
しかし、どちらも私の本心であり、私の知恵、考えである事を、頭の中に入れてから読んでほしい。
私の助言をどうするかは、そなたの自由である。助言など必要ないのであれば、この文も小四郎に読まれる前に燃やしてしまえ。
恐らく、源氏の世が衰退するのは遅くないだろう。
衰退が始まるのは、頼朝が亡くなってからか、頼朝の嫡男が鎌倉殿の座についてからか、はたまた、もう既に源氏の崩壊は始まっているのか。
そこまでは分かりかねるが、遅かれ早かれ源氏の世は終わる。
頼朝の死後、鎌倉殿の座につくのは、嫡男である万寿であろう。
しかし、鎌倉幕府を築き上げた源頼朝という父を持つ万寿だが、偉大な父の元に生まれた子というものは、大抵苦労するものだ。
現に、源義朝の九男である源九郎義経は、屋島の戦い、壇ノ浦の戦いで活躍するも、実の兄に見限られ、奥州で自害するという末路を辿った。
これはあくまで私の見立てだが、恐らく、頼朝の嫡男である万寿の政治も、上手くいかないだろう。
坂口「……全て、当たっている。」
源氏が衰退した鎌倉には、源頼朝が頼りにした北条の力が不可欠である。
しかし、良くも悪くも世話焼きな北条時政殿の政治が上手くいくとは、私には到底思えない。
心優しい者が上に立てば、必ず失脚させられる。
時政殿が執権になったとて、それは長くは続かないであろう。
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坂口「…………っ、」
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綾木 麗(プロフ) - 花火2016さん» ごめんなさい、返信めちゃくちゃ長くなってしまいそうなので、ボードの方に送らせていただきます (2022年12月17日 19時) (レス) id: 5a575a9999 (このIDを非表示/違反報告)
花火2016(プロフ) - 綾木 麗さん» コメントありがとうございます!実は鎌倉殿のお話を考え始めた頃からずーーーっと練ってた構成なので、褒めていただけて嬉しいです……。ハコヅメのお話も今日俺のお話も大好きで読ませていただいてます、お褒めいただき光栄でございます……。 (2022年12月12日 4時) (レス) id: 0f7e1e76f5 (このIDを非表示/違反報告)
綾木 麗(プロフ) - えー待って待って八千代生きてたの胸熱過ぎるんですけど……しかも息子役が菅生新樹さんって……花火さま神ですよね???前から存じておりましたけど (2022年12月12日 0時) (レス) @page25 id: 5a575a9999 (このIDを非表示/違反報告)
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