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『いや、言いたい事は分かるよ。……母親に何言われたって、植物状態の恋人を愛し続けるのが筋だろっていうのも分かる。でも……なんか、それ言われた瞬間「私なんでこの子に尽くしてんだろう」って思ってきちゃったんだよね。』

眞栄田「……。」

『……人にはそれぞれ、許せないスイッチがあって……。私のスイッチは、それを押した人間の周囲も嫌いになる仕様だったってだけ。……それだけ。』

眞栄田「……、朝比奈さんは、それでいいんすか?」

『……もし会いたくなったらあの子から来るでしょ。それに、……こんな事言ったら、性格悪いって言われるかもしれないけど……ずーっと背負い続けてきた肩の荷が降りたような気もするんだよね。』

眞栄田「……凄いっすよね、……俺だったら絶対すぐに逃げ出してたっす。……相手の母親にいろいろ言われたら尚更……立ち直れないって言うか。」

『私だって傷付いたよ。……だから会わないんじゃん?』

眞栄田「…………。」

『……あー、なんか思い出すだけで気分悪い。……ビール飲む?』

眞栄田「あ、いや、俺は……。」

『……っ、ぷは、……っ、……にっが、っ、……あはは、』

眞栄田「……、やっぱ俺も貰っていいすか?」

『……ひとりじゃ飲みきれないからいっぱい飲んで。』

眞栄田「いただきます。」

『どうぞー……。』



それから僕と朝比奈さんは、ビールをたらふく飲んだ。

これ以上飲めないってくらい飲んで、酔った勢いでいろんな話をした。

初めて煙草を吸ってみて、煙で噎せたのを楽しそうに笑われた。

僕の学生時代の過去を、真面目な顔で聞いてくれた。

そしてずっと謎だった朝比奈さんの事を、詳しく知った。

僕よりひとつ年上の27歳だという事。

「朝比奈 綾」は芸能界でいう所の芸名だって事。

本名は「綾瀬 雛乃」さんという事。

本当は報道カメラマンじゃなくて、写真館のカメラマンになりたかった事。

僕と彼女の仮面がどんどん剥がれていって。

「つらいね」「寂しいね」とお互いを慰めあって。

それから、僕達は、


一夜限りの、罪を犯した。



『…………。』

眞栄田「……、雛乃、さん、」

『……、おはよう。』

眞栄田「……あの、僕、」

『……シャワー浴びてから帰って。』

眞栄田「……、はい。」



目が覚めると、「雛乃」さんは、「朝比奈」さんに戻ってた。

罪には、お互い触れないようにして、僕は朝比奈さんの家を出た─。

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綾木 麗(プロフ) - 花火2016さん» ごめんなさい、返信めちゃくちゃ長くなってしまいそうなので、ボードの方に送らせていただきます (2022年12月17日 19時) (レス) id: 5a575a9999 (このIDを非表示/違反報告)
花火2016(プロフ) - 綾木 麗さん» コメントありがとうございます!実は鎌倉殿のお話を考え始めた頃からずーーーっと練ってた構成なので、褒めていただけて嬉しいです……。ハコヅメのお話も今日俺のお話も大好きで読ませていただいてます、お褒めいただき光栄でございます……。 (2022年12月12日 4時) (レス) id: 0f7e1e76f5 (このIDを非表示/違反報告)
綾木 麗(プロフ) - えー待って待って八千代生きてたの胸熱過ぎるんですけど……しかも息子役が菅生新樹さんって……花火さま神ですよね???前から存じておりましたけど (2022年12月12日 0時) (レス) @page25 id: 5a575a9999 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花火2016 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2022年11月23日 19時

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