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田中「いただきまーす。」
『いただきます。』
樹くんはいつも、ご飯を食べる前に自分の分の朝ごはんを写真に撮る。
頑張った料理を写真に撮るなら分かるけど、今回みたいな手抜きの朝ごはんまでも撮影するから、正直ちょっと不思議に思っている。
いいや、この際だから聞いてしまえ。
『……ご飯の写真って、誰かに見せてたりするの?』
田中「いや、俺がAちゃんが作ってくれたご飯保存したいだけだから……まぁ、自分と……見せるとしてもメンバーくらいかな。」
『ええ、今日のは見せないでね。すっごい手抜きだから。』
田中「何言ってんの。ベーコン角切りにしてくれてる時点でぜんっぜん手抜きじゃないし、そもそも、こういう朝ごはんがいちばん美味いんだよ?」
『……私も変に気取った朝ごはんより好き。』
田中「うん、てかまじうめぇ。Aちゃん天才。」
『よかった。』
目玉焼きと角切りベーコンをご飯の上に乗せただけの手抜きごはんだけど、こんなに美味しいと言ってくれるなら、これで良かったのかもしれない。
一年前に出会った時はガリガリで細かった樹くんは、私と付き合い出してから良い意味で少しだけ身体にお肉がついたような気がする。
前の樹くんもかっこよくて好きだったけど、今の樹くんの方が私は好き。
……単に樹くんの黒髪が好きって言うのもあるかもしれないけど。
田中「……ん?」
『……樹くんの好きなご飯は?』
田中「Aちゃんの作ったの全部。」
『ふふ、即答。』
田中「だって全部うまいんだもん。」
『ありがとう。』
田中「あー……こんなうまいご飯三ヶ月も食えなくなるの辛いわー……。」
『すぐ慣れるよ。』
田中「いーや、絶対慣れないね。」
『じゃあ帰ってきたらすぐご飯作るから。何がいい?』
田中「……ハンバーグ。合い挽きのやつ。」
『ハンバーグね、分かった。』
田中「へへ、楽しみ、」
正直いうと、私がアメリカに行った後の樹くんの食生活はかなり心配だけど、なんだかんだちゃんと食べてくれる事を信じようと思う。
……にしても、三ヶ月間、この美味しそうに食べる顔が見れないのは私も寂しいので、今のうちにいっぱい見せてもらわないと。
『なんか甘い物食べたくなってきた。』
田中「いいじゃん、何食べよっか。」
『んー……。』
田中「じゃあ後でふたりでUber見よっか、それで決めよ。」
『うん、そうする。……ご飯おかわりいる?』
田中「あ、ありがと。」
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綾木 麗(プロフ) - 花火2016さん» ごめんなさい、返信めちゃくちゃ長くなってしまいそうなので、ボードの方に送らせていただきます (2022年12月17日 19時) (レス) id: 5a575a9999 (このIDを非表示/違反報告)
花火2016(プロフ) - 綾木 麗さん» コメントありがとうございます!実は鎌倉殿のお話を考え始めた頃からずーーーっと練ってた構成なので、褒めていただけて嬉しいです……。ハコヅメのお話も今日俺のお話も大好きで読ませていただいてます、お褒めいただき光栄でございます……。 (2022年12月12日 4時) (レス) id: 0f7e1e76f5 (このIDを非表示/違反報告)
綾木 麗(プロフ) - えー待って待って八千代生きてたの胸熱過ぎるんですけど……しかも息子役が菅生新樹さんって……花火さま神ですよね???前から存じておりましたけど (2022年12月12日 0時) (レス) @page25 id: 5a575a9999 (このIDを非表示/違反報告)
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