怪演女優 Fifty One

第六話 退職届と異動辞令 ページ11

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眞栄田「……、なんで、あの写真、」

『ぶっちゃけあの写真撮った時は、週刊誌に売ってやろうだなんて思ってなかったんだよ。あの場所にもたまたま居合わせた。いやぁ……流石にビビったね。』

眞栄田「……そうなんすか？」

『あの写真撮ったのは、斎藤さんに「付き合うのは勝手だけど路チューはやめとけ」って言おうと思ったから。』

眞栄田「……え、じゃあなんで、あの写真流れたんすか？」

『話すと長くなるから端折るけど、私、知り合いに情報屋がいるんだよ。色んなところと繋がってるような、よくわかんない男なんだけど。……そいつとの世間話の中でポロッとその話題になって、写真見せたら……まぁ、その写真が週刊誌に載せられたわけ。……私だってあの記事見て驚いた。』

眞栄田「じゃあ……」

『……あれは完全な巻き込み事故。……たしかに口に出しちゃったのは悪い事だけどさ、アナウンサーのキス現場見たら誰かに言いたくなるでしょ。』

眞栄田「まぁ、それはたしかに……。」

『だから、浅川恵那はちょっと気まずいって言うか。』

眞栄田「そういう事なんすね……。」

『……もういい？』

眞栄田「っ、はい、……すみませんでした、遅くまで。……お疲れ様でした。」

『……、ちょろいなぁ……。』


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二年前


Fukase「……、これって、」

『これ、あんたに売ったらいくらになる？』

Fukase「……っ、はは、売るんですか。」

『生活費諸々に加えて高額な慰謝料を賄える給料、弱小出版社の下っ端カメラマンが貰えるわけないでしょ。……で？浅川恵那のネタはいくらなの。』

Fukase「……最低、10ですかね。」

『……そう。……じゃあその写真売るから、金は振り込んどいて。』

Fukase「はい。…………、」


『……っ、は？』

《 振込 710,000 》


Fukase「はい、もしもし、」

『何この大金、どういう事。……え、10万って言ってたよね。』

Fukase「最低10万と言ったんです。……それほどあの写真が話題になり、浅川恵那を邪魔に思っている人間がいた、という事じゃないでしょうか。」

『……っ、』

Fukase「あぁ、それと……この写真を撮った人間を知りたい、と、多くの出版社から声がかかってます。……どうされます？」

『……どう、したらいい。』

Fukase「……出版社に務めるのが安定ですが……あなたの実力だと、フリーになると、このような振込は今後も増えていくかと思いますよ。」

『…………。』

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